- きょういくじん会議
![図書館・アーカイブズとは何か](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4894346524.01.MZZZZZZZ.jpg)
書籍や写真、絵画、音声などの貴重な文化資料をデジタル化し、インターネット上で無料公開するプロジェクトが進められています。UNESCO(国連教育科学文化機関)が主導するWorld Digital Libraryと、EU(欧州連合)が主導するeuropeanaについてご紹介します。
World Digital Library
UNESCOが米国議会図書館と共同で進めてきたプロジェクトで、21日についに一般公開されました。米国議会図書館のほか、エジプト・アレキサンドリア図書館やイェール大学など、世界各国の国立図書館や大学図書館が参画し、保有する資料の一部をデジタル化して提供しています。サイトは英語やフランス語などの7か国語で閲覧できます。資料の数は千数百点とまだあまり多くはありませんが、今後もデジタル化を進め、保有資料を増やしていく予定です。
現在のところ、日本語での検索や閲覧はできませんが、英語などでのキーワード検索が可能で、とても使いやすいサイトになっています。資料が作られた年代や、地域(東アジア、ヨーロッパ、北米、中東など)、トピック(歴史、芸術、哲学、宗教など)、種類(書籍、写真、地図、草稿など)ごとにも表示することができるので、資料の絞込みも難しくありません。
日本からは国立国会図書館が参加しています。また、このプロジェクトに参加している世界中の機関で保管されている、日本に関連する資料も閲覧できます。現在のところ、日本についての資料として、「源氏物語」や「百人一首」、そのほか浮世絵や地図などを閲覧することができます。
europeana
こちらはEUが進めているプロジェクトで、昨年11月から一般公開が始まっています。EUのすべての加盟国から図書館や博物館などが参加しており、26の言語で検索や閲覧ができます。資料の数もすでに二百万点以上と膨大です。こちらもキーワード検索が可能で、「文書」、「画像」、「映像」、「音声」といった種別ごとに絞り込むこともできます。ヨーロッパの機関で保管されている日本に関する資料を調べたいときにも便利です。
World Digital Libraryもeuropeanaも、画期的な取り組みと言えますが、莫大な数の資料をデジタル化して公開するために必要な費用や時間の問題、また著作権の問題など、今後の運営のために解決すべき問題が数多くあります。しかし、貴重な資料を保護するためにも、世界中の多くの一般の人々が閲覧して勉強や仕事、娯楽に役立てるためにも、このプロジェクトが今後も継続・発展していく意味は大きいと言えそうです。
日本では目にすることのできない珍しい資料がたくさんありますので、皆さんもお時間のあるときに覗いてみてはいかがでしょうか。知的好奇心を満たしてくれるだけでなく、授業作りや仕事に役立つ資料が見つかるかもしれません。