きょういくじん会議
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地理学習に役立つ? 日本水準原点公開と高さのはなし
kyoikujin
2009/5/29 掲載
数値地図 250mメッシュ (標高)

 いきなりですが、問題です。「□」の真ん中に「・」がひとつ、これは何を示す地図記号でしょうか? 分からなくてもご心配なく。答えは「水準点」と呼ばれる地図記号で、測量など地形図を作る上で欠かすことのできない、高さをはかるための基準となる点を示すものです。日本の水準点のなかでも一番のもとになっている「日本水準原点」が、6月3日の「測量の日」を記念して、5月29日に1日限定で一般公開されます。

 日本水準原点は、千代田区永田町の国会議事堂前、憲政記念館敷地内にあります。敷地内には「標庫」と呼ばれる石造の建物があり、この標庫内の水晶板のゼロの目盛りこそが、東京湾の標準海面から24.4140メートルを示し、日本の高さの基準となってます。
 通常、地上の高さは「海抜○○メートル」と呼ばれるように、海からの高さを基準としています。このような水準原点が作られた背景には、潮の満ち干きなどで不安定な海ではなく、安定した地上に基準となる地点をつくる必要があったからでした。ちなみにこの水準原点、もともとは24.500メートルだったところ、大正12年に起きた関東大震災で高さが変わってしまい、現在の高さとなったというエピソードをもっています。また、水準原点を保護している標庫自体も明治28年に建造され、現在は東京都の指定有形文化財となっています。

 地図記号については、小学校の新学習指導要領で、3学年及び4学年の学習内容として追加された内容です。取り扱いとしては、「主な地図記号」ということですので、「警察署」や「郵便局」、「畑」などと比べると「水準点」は一般的とは言えず、出番はなさそうです。とはいえ、地図についての子どもの興味関心を引く素材、素朴な疑問に答えるものとしては、おもしろいネタといえるかもしれません。

 なお日本標準原点の公開時間は10〜16時、雨天決行とのことです。詳しくは、国土地理院のホームページをご覧ください。このほかにも「測量の日」を記念して、全国で行われるさまざまなイベントの情報が掲載されています。

 おまけに高さネタでもうひとつ。地球上で最も高いものといえば、そう、エベレスト(ネパール名:チョモランマ)です。偶然にも今日、5月29日は初めて人類がエベレストに登頂した日です。ニュージーランドのエドモンド・ヒラリーとシェルパ族のテンジン・ノルゲイが1953年に成し遂げました。
 日本人としては、植村直己と、松浦輝夫が初めて登頂に成功しています。植村直己は当時世界初5大陸最高峰登頂(※)を成し遂げ、国民栄誉賞も受賞した冒険家です。例えば、中学校地理の「世界の地域区分」の授業では、各地域の地理や人々の生活風土などの他にも、こういった冒険家の偉業を絡めて扱ってみるのも、面白い授業となるかもしれませんね。

※登頂したのは、ヨーロッパのモンブラン、アジアのエベレスト、北アメリカのマッキンリー、南アメリカのアコンカグア、アフリカのキリマンジャロのため厳密には、5州最高峰ということになります。また、現在のヨーロッパ最高峰については、ロシアのエルブス山とされています。

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