きょういくじん会議
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介護にも子どもの力を! 高齢者介護施設の取り組み
kyoikujin
2009/6/28 掲載
高齢者のためのレクリエーションとゲーム―すぐに使える

 高齢者の介護、というと何を思い起こしますか? 介護施設、デイケア、近頃たびたびニュースでも耳にする介護疲れ…ひょっとしたらあまりいいイメージではないかもしれませんね。しかし、介護休暇制度の導入、帰省介護のための航空機運賃の値引きなど、徐々にではありますが介護の環境も整いつつあるようです。また、介護施設でも、高齢者にも子どもの元気に触れてもらおうとユニークな制度を取り入れたところも出てきたようです。

 3日の産経新聞の記事によると、茨城県水戸市の高齢者介護施設「デイサービスセンターお多福」では、地域の子どもたちに「キッズヘルパー」として施設内で「仕事」をしてもらっているようです。子どもたちと触れ合うことで高齢者に元気になってもらう、ということの他にも、世間の認知症に対する偏見を少なくしたい、という目的もあるようです。

 急速な高齢化に伴い、国内では今や85歳以上の4人に1人が認知症を患っているとも言われています。これまで老人性認知症の中で最も患者数が多いアルツハイマー型認知症の進行の全経過は4〜8年、平均6.8年ほどとされていましたが、最近では様々な治療法が確立され、6〜10年と延長傾向にあるそうです。医学の進歩により延命治療が可能になったものの、結果として家族や周囲の人々の介護の負担は大きくなってしまい、現在大きな社会問題となっています。
 先ほどの記事にもあるような高齢者介護施設もそういった家族の負担を少なくするために設立されましたが、実際には閉ざされた施設内で決まった人との交流しか持てず、認知症に対する正しい知識も世間に広まることなく、偏見だけが一人歩きしてしまっている、というのが現状のようです。

 介護施設も人手が足りている、とは到底言えない状況で、これからさらに高齢化が進行しようとしている日本にとっては、決められた施設で専門の介護士に患者を任せるという制度にも限界が近づいてきているのではないでしょうか?
 厚生労働省でも、「認知症サポーター100万人キャラバン(PDF)」というキャンペーンを行っており、全国の地方自治体などでも広がりを見せつつあります。認知症に対して正しい知識を広め、患者を街ぐるみ、地域ぐるみでケアしていくためには、若い世代への認知症に関する教育、高齢者と接する機会の充実などが必要なのかもしれません。前述のキッズヘルパーのような制度も、今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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