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「『独創』の教育」を新テーマに―筑波附属小、研究発表会
kyoikujin
2009/6/26 掲載

 去る18〜19日の2日間、筑波大学附属小学校にて、学習公開・研究発表会が開催されました。毎年、全国から数千人もの参観者が訪れる国内最大規模の研究発表会。今年は新型インフルエンザの影響で例年より参観者数は抑えられたものの、今年度から新しくなったテーマのもと、熱い協議が繰り広げられました。

 昨年度までの「子ども力の育成」に替わり、今年度の研究テーマは「『独創』の教育」。第一年次となる今回は、「今、なぜ『独創』の教育が必要なのか、各教科・領域はどのような力を育成できるのか」という観点から、各教科・領域の本質に迫る研究の提案が行われました。

 同校では「独創性」を以下のように定義しています。

自分らしく、知恵やものを新しく生み出したり、すでにあるものに新たな価値を付け加えたりする能力(独創力)や態度(独創的態度)

 子どもたち一人ひとりの独創を大切にすることはもちろん、お互いの発想や考えを認め合うことで、クラス全体の発想の幅を広げ、そこから新しい発想を生み出すことにつなげることができる、というように、周りの認め合う力も「独創」の教育において大変重要である、という点が強調されていました。

 また、小学校教育において「独創性」を育成するのは難しいのではないかと懸念する声をふまえ、「独創性」の必要性自体も研究の対象とした取り組みとなっています。

 授業後の協議会でも、低学年の子どもたちは「一度成功するといい考え、一度失敗すると悪い考え」のように流れてしまう傾向があるなどの現状や、やはり「一般的な公立学校の授業で、そこまで子どもの考えを引き出すことは難しいのではないか」という議題が提起され、熱く語られていました。

 「ゼロから発想はなかなか出てこないため、次に生かすことができるよう、できるだけいろいろな経験をさせることを心がけている」という報告もあり、子どものひらめきや発想を促すような教材づくりや、一人ひとりの創造性が十分に発揮されクラス全体に波及するような認め合う学級づくりなどの課題が見え、とても興味深い研究会でした。

 まず子どもたちを変えようとするのではなく、教師が子どもたちを見る目を見直してみることで、たくさんの発見が得られるのだということを感じました。これから夏に向けてたくさんの研究会が開かれますので、一つの観点として心に留めておいてもよいかもしれません。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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