きょういくじん会議
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モスキート音で犯罪を撃退―音で地域の治安を守る
kyoikujin
2009/7/2 掲載
蚊

 梅雨明けが待ち遠しいこの季節、あの小さな吸血鬼がいたる所に出没し始めます。吸血鬼の正体は蚊。彼らが普段嫌われる原因は、容赦なく刺すことと、“プゥ〜ン”という羽音ではないでしょうか。そんな嫌われ者の彼らですが、最近では一部の場所であの羽音が何やら重宝されているらしいのです。今回は、そんな彼らの羽音の活用法についてご紹介します。

 2か月ほど前になりますが、毎日新聞の記事などで、東京都足立区の公園のトイレに、あるものが設置されたという記事が掲載されました。そのあるものが蚊の羽音と大きく関係しているのです。
 それは、深夜にたむろする若者を撃退する目的で設置されたものなのですが、その名も「若者たむろ防止装置モスキート」。モスキートとは英語で蚊の意味。あの蚊の羽音のように耳障りな音を断続的に流し続けて、若者がそこに留まるのを防ごうという試みのようです。

 そもそもヒトの聴力は年齢により聞こえやすい周波数が変化します。蚊の羽音や金属音のような高周波音に分類される高音は、10代〜20前半の若者にはよく聞こえるようですが、それ以上の年齢の人にはほとんど聞き分けられないそうです。モスキート音発生装置を開発しているメーカー株式会社メルクによると、若者が集まりやすい深夜のコンビニや落書きや器物破損が起こりやすい休日の学校などで効果が期待できるそうです。実力行使という荒い手段でない分、ケガなどの心配もなく被害が防げるとても有効な手段といえそうです。

 さて、高周波発生装置ですが海外のケースや千葉県でのコンビニに設置したケースでは一定の成果が出ているようです。しかし、初めにご紹介した足立区のトイレでは、26日の産経新聞によると、残念なことに中学生とみられる若者によってトイレの一部が壊されてしまったそうです。今後、長期的なスパンで見たときに被害がなくなればと思います。

 「音」で若者による犯罪を防ぐこの方法は、若者自身が「撃退されている」自覚がないまま、犯罪を抑止したり治安の安定に結びついたりといった、大きな効果が期待できそうです。一方で、普通に生活している若者までもが、年齢故に不愉快な思いをしてしまっては、それも見過ごすことのできない大きな問題といえそうです。蚊の力を借りながら、将来的には、そこに生活しているすべての人が年齢に関係なく快適な生活を送ることができる世の中になればいいですね。

 最後に、おまけをひとつ。株式会社カワブンのサイトでは、モスキート音の視聴ができるそうです。あなたはどの程度の高周波音を聞き分けることができますか。これによって、あなたの耳年齢が明らかになるかもしれませんよ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2009/7/3 17:32:29
    若者撃退のための?モスキート音ですが、逆に、先生に聞こえないからと携帯の着信音に設定するのが流行っているみたいですね。子どもの逞しさはあなどれません。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2009/8/23 15:25:27
    うちの近所では猫撃退のためか、モスキート音を鳴らしていますが、実に不快です。
    また、知らず知らずのうちに、誰かに意図的に環境を作られるというのは、こわいことでもあると思います。
    安易に取り入れるのはいかがなものかな。。
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