- きょういくじん会議
先月末のマイケル・ジャクソンの突然の死去が世界的に大きなニュースとなった。その不可解な死もさることながら、彼が最も活躍した80年代に青春時代を過ごした30〜40代の人にとっては、あのM・ジャクソンがもう50歳だったということも驚きの一つだろう。そこで今回は、80年代に若者から支持を受けたポップス、ロックスターの現在の活動ぶりを追ってみた。
政治の舞台で存在感を発揮―B・スプリングスティーン
70〜80年代前半に最も世界から注目を集めたスターの一人が、米国のブルース・スプリングスティーンだ。普通の若者の気持ちを代弁するストレートな歌詞で、ティーンエイジャーから圧倒的な支持を受けた。当時、ステージ以外のときの彼はガソリンスタンドで働いている、と本気で信じているファンがたくさんいたと言われるほど、“近所の兄ちゃん”的な存在として愛されていた。
そんな彼も、今年で還暦を迎える。そして近年は、熱心な民主党支持者として、先の米国大統領選挙のキャンペーン等にもたびたび登場し、社会派としての地位を確立しつつある。発表する作品も、2001年の同時多発テロについての歌が集録された『The Rising』(2002年)をはじめ、政治や社会問題を取り上げたものが多くなっている。
悪ガキも社会派志向へ―ビースティ・ボーイズ
白人のヒップホップ・ミュージシャンの先駆者として80年代中盤にデビューした米国の3人組も、全員が40代中盤に差しかかった。
デビュー時は、過激な歌詞や破天荒な振る舞いで、父母音楽情報源センター(PMRC)を中心に当時米国で繰り広げられていた、青少年に悪影響を与える音楽の排除運動の格好の対象になっていた彼ら。そういった“悪ガキ”のイメージは今なお消えてはいないが、90年代半ば以降、メンバーによる基金の設立や、それに関連したコンサートの開催などを通して、中国のチベット自治区における人権侵害への抗議活動や、非暴力による独立運動支援を熱心に行っている。
インスタントラーメンの生みの親から影響―E・コステロ
70年代後半〜80年代前半のパンク/ニューウェーブブームの中で注目を集めた一人、英国のエルビス・コステロは、今年55歳。
パンク/ニューウェーブ系のミュージシャンは、ブームが去るとその多くが表舞台から消えていった中で、彼はカントリー、クラシックなど様々なジャンルの音楽に接近し、今日まで多くのファンの支持を受けてきた。
そして昨年、日清食品の創業者でインスタントラーメンの生みの親とも言われる、故安藤百福氏の名前をそのままタイトルにした『MOMOFUKU』というアルバムを発表し、話題を呼んだ。アルバムを2週間という短期間で作成したことについて、インスタントラーメンとかけて、“やることといったら、お湯をかけることくらいだった”とおしゃれなコメントを残し、ジャケットの中には、
Remembering Momofuku Ando(1910-2007).
He fed those who study.
と記されている。“study”と言えば、初めて来日した際、彼はステージ衣装として黒い学生服を着たことがあった。