きょういくじん会議
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じわりと人気「剣道」―武士道の精神
kyoikujin
2009/12/22 掲載
写真集 三島由紀夫 ’25~’70 (新潮文庫)

 11月30日の産経新聞の記事では、中学生や高校生などの間で高まる剣道人気の模様を伝えています。先日行われた剣道の日本一を決定する日本選手権では、会場の1階から3階までのギャラリー席の観覧券が完売するなどただならぬ人気のようです。この剣道人気についてみてみようと思います。

 新しい学習指導要領では、体育の授業の一環として「武道」が必修化され、柔道、剣道、相撲のいずれかが行われることになります。伝統的な文化の理解や相手の動きに応じた攻防による身体能力の向上をはかることが目標として挙げられています。また、文科省の指導要領解説によれば、

武道は、単に試合の勝敗を目指すだけではなく、技能の習得などを通して礼法を身に付けるなど人間としての望ましい自己形成を重視するといった考え方があることを理解できるようにする。

としており、武道の精神性についても学習の一環としていることは特筆すべきといえます。

「武士道」へのあこがれ

 剣道の精神性と切り離すことができないのは「武士道」。以前の五千円札に描かれていた新渡戸稲造は、その著書「武士道」のなかで「武士道とは死ぬことと見つけたり」と著しています。
 そんな「武士道」をテーマとしたテレビドラマや、マンガなどが剣道人気を一因ともなっているようです。なかでも、対照的な2人の女子高生剣士の交流を描いた誉田哲也氏の青春小説のひとつ「武士道シックスティーン」は、既にマンガ化されているほか、来年春には映画が公開されるなど、その人気を裏付けているといえます。

子どもにやってほしいスポーツ

 新たにスポーツをはじめるときには、必要な道具を揃えるのにお金がかかります。こと、剣道の防具一式となれば、相当な負担がありそうです。そのため、剣道は敷居の高いスポーツ、習いごとというイメージもあるのではないでしょうか。ところが、産業能率大学が行った「スポーツの経験と将来志向に関する実態調査」によると、14〜40歳の男女に「子どもにやってほしいスポーツ」*をきいたところ、「男の子にやってほしいスポーツ」として父親想定層では10位(5.6%)、母親想定層では7位(11.2%)に剣道がランクインしています。また総合順位としては、8位(全体の8.4%)となるなど、男女を問わず全般的に剣道に対して好意的な印象があるようにいえそうです。

坂本龍馬も剣の達人

 最後に来年の大河ドラマ「龍馬伝」の主人公で、いま何かと話題となっている坂本龍馬のお話を。ピストルをいち早く手に入れた逸話や、幕末の時代に新たな日本や世界のあり方を見据えていた人となりがよく知られています。その坂本龍馬は土佐から上京し、北辰一刀流の千葉周作の道場に入門すると、わずか22歳という年齢で師範免許皆伝を取得するなど、剣の使い手としてもまさに超一流だったとか。
 この剣道人気によって、坂本龍馬のような新しい時代を切り開く剣士が続々と生まれてくるとよいですね。

*子どもがいない場合は、子どもがいる場合を想定して回答。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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