
文化庁のホームページでの発表によると、著作権法の一部を改正する法律が平成22年1月1日より施行されるという。
今回の改正は、インターネット社会となった今日社会に対応し、障害者が情報利用の機会を確保できるようにするための措置で、中でも障害者のための著作物利用に係る権利制限の範囲が下記のように拡大された。
- 障害の種類を限定せず、視覚や聴覚による表現の認識に障害のある者を対象とすること
- デジタル録音図書の作成、映画や放送番組の字幕の付与、手話翻訳など、障害者が必要とする幅広い方式での複製等を可能とすること
- 障害者福祉に関する事業を行う者(政令で規定する予定)であれば、それらの作成を可能とすること
1点目の「障害の種類を限定せず」とは、視覚障害者だけではなく、LDなど発達障害の人々など通常の印刷物を読むことが困難な人々が含まれることを指している。
また、デジタル録音図書の作成等が、「障害者が必要とする幅広い方式で」可能となった点も大きい。
近年デジタル録音図書は、国際基準で定められたDAISY(Digital Accessible Information System)で作成されることが多い。作成されたDAISY図書は、専用の機械やパソコンにソフトウェアをインストールして再生をすることができ、国内では、現在のところ、点字図書館や一部の公共図書館、ボランティアグループなどで、このDAISY録音図書が製作され、主にCD-ROMによって貸し出されている。
学校での学習については、以前の記事でも報じられた教科書バリアフリー法や、著作権法第33条の2「教科用拡大図書の作成の改正」(平成16年1月1日施行)により、障害のある子どものために「拡大教科書」や、デジタル化された教科書等が、製作できるようになってきており、日本障害者リハビリテーション協会ではマルチメディアDAISY教科書を作成、通常の印刷された教科書では学びにくい子どもたちの助けとなっている。
さらにすすむ今回の著作権法改正により、障害があっても一般の多くの図書にも触れ、楽しむ機会が一層増えていくことが願われる。
- エンジョイ・ディジー(DAISY研究センター)
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/index.html
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- 名無しさん
- 2010/1/2 1:16:04
KAZ先生のEduブログにも「発達障害にとってもとても大切な法律改正」と記事がありましたね。→発達障害と著作権法の改正案をめぐって(2008.11.15)