- きょういくじん会議

先日、東京大海洋研究所と千葉県立中央博物館の研究チームのDNA調査によって、ウナギの祖先は深海魚だという進化系統が明らかにされました。
これまでウナギの生態には謎に包まれた部分が多くありましたが、養殖技術への利用などでこれからの期待が高まっています。
また7日には、ヒトのゲノムの中にRNAウイルスの遺伝子が含まれていることが発見されたというニュースが報じられました。これは、ヒトがウイルスの遺伝子を取り込み、関連し合いながら進化をしてきたという歴史を知るための手がかりとなり、医療に役立つ可能性があるそうです。
◎進化論とは?
このように科学のさまざまな分野で登場する「進化」という言葉。大々的に論じられるようになったのは、1859年のダーウィン著『種の起源』がきっかけです。特に去年2009年は進化論150周年とされ、世界各国でさまざまなイベントが催されました。
進化論は、生物の種はずっと一定の姿を保ち続けるのではなく、環境に応じて変化を繰り返す「進化」をするということを共通の大前提としています。しかし一方で、では進化がどのように起こるのかという問題についてはさまざまな説があります。ダーウィンは「自然淘汰」と「突然変異」を挙げていますが、他にも上記の記事に関連したウィルス進化説、重力の作用による進化説など、多様な説明が試みられています。
◎進化論は常識?
日本に住む私たちにとってはほぼ常識となっている進化論ですが、世界ではまだ全面的には認められていない国もあります。例えば、先日発表されたアメリカ人の意識調査の結果では、進化論を信じる人は全体の45パーセントにとどまっています。一方、キリスト教的な考えを根幹とする「創造論」を信じる人は40パーセントにのぼりました。
また、6日の読売新聞の記事でも、アメリカにおける進化論の窮状が取り上げられています。記事によると、保守派といわれる「創造論」を信じる人たちの運動により、ある州では、進化論を無視したり人間を進化論から除外して理科の授業を行うことができるようになったといいます。
科学大国とも思えるアメリカで、意外に思われる方も多いかも知れませんが、進化論はまだまだ検討の俎上にあると言えるでしょう。
進化論が発表されたことにより、それまでの人間に対する基本的な考えは大きく変化しました。その存在の大きさを考えると、150年というのはあるいは短い時間とも考えられます。150周年を終えて進化論について興味を持つ人が増え、関連書籍も多く発行されるようになりました。これを機に、進化論について一考してみるのも良いのではないでしょうか。