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猛暑特需の「梅干し」で残暑を乗り切ろう!
kyoikujin
2010/9/2 掲載
昔ながらの梅干し

 記録的な猛暑日が続いています。
先日発表された気象庁の9〜11月の3カ月予報では、今月から来月にかけても全国的に気温の高い状態が続くとのこと。今後も厳しい残暑が続き、本格的な秋の訪れはしばしお預けのようです。
 そんな連日の猛暑で売り上げが好調なのが「梅干し」です。今回は「梅干し」について調べてみました。

「梅干し」の歴史

 梅が日本にやってきたのは、大和朝廷の時代。遣隋使によって梅の実を燻製させて作った「鳥梅(うばい)」として伝わったのがはじまりと言われています。この「鳥梅」は熱さましや咳止めに効果があるとされ、薬として用いられました。
 その後、室町時代には禅宗の僧が、茶菓子として「梅干し」を用いたことから食膳に「梅干し」が添えられるようになります。さらに戦国時代には、武士のお供として「梅干丸(うめぼしがん)」が登場。これは「梅干し」の果肉と米の粉、氷砂糖の粉末を練ってつくられるもので、戦いでの疲れを癒したり、生水を飲んだときの殺菌用として重宝されたようです。
 そして「梅干し」が一般的に広がりを見せたのが江戸時代。特に江戸では大晦日や節分の夜に「梅干し」に熱いお茶を注いで飲む「福茶」という習慣があり、病気を避けて福を呼び込む慣わしに「梅干し」がしようされていました。またこの頃から、しその葉を使って「梅干し」を赤く色づけする方法が普及し、「梅干し」の漬け方にも工夫が加えられるようになりました。
 こうして「梅干し」は日本の伝統的な健康食品として定着していったのです。

「すっぱ〜い!」が体に効く

 「梅干し」の特徴といえば酸味。この酸味の正体はクエン酸です。このクエン酸が健康に良い働きをします。
 まず、クエン酸は疲労回復に効果的であるとされています。クエン酸が疲労の原因である乳酸を炭酸ガスと水に分解して体外に排出することによって体内の乳酸の産出、蓄積を防ぐためです。また体内の乳酸が少なくなることで血液がサラサラになるため、動脈硬化の予防にもなります。
 またクエン酸は体内のカルシウムの吸収を促進させる働きがあり、骨を丈夫にする効果も期待できます。
 さらに、虫歯の原因であるミュータンスという球菌の活動を抑える作用もあり、虫歯予防にも効果的です。「梅干し」をお湯に入れて口に含むと歯磨きと同じくらいの効果があるとも言われています。
 そしてこの酸味が唾液や胃酸の分泌を盛んにするので、食欲増進にもつながります。
 「梅干し」一粒で様々な効果が期待できます。昔の人の知恵と工夫がぎゅっとつまっていることを感じますね。

猛暑特需の「梅干し」

 実は「梅干し」づくりにとって猛暑は良い環境なのです。産地としておなじみの和歌山県では平均で1.2倍の出荷量となっているとのこと。また近年では、梅ジュースやはちみつ入りの「梅干し」など、「梅干し」の種類も豊富です。ちなみに東京の和歌山県のアンテナショップ「わかやま喜集館」では本場の「梅干し」である、紀州南高梅を購入することもできるそうです。
 日本古来からの健康食である「梅干し」。「梅干し」は普段の身の回りにある何気ない食品にも実は深い歴史があり、私たちの生活にあわせた工夫がなされていることを教えてくれます。このように日本の伝統的な食文化や食品について、家庭での会話や授業で目を向けてみることで、子どもたちに日本の文化や歴史に触れさせるきっかけをつくることができるのではないでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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