- きょういくじん会議
先週から多くの小・中学校では夏休みが明けていることと思いますが、大学生たちはまだまだ長い夏休みを満喫中です。私が学生の頃は、夏季休暇中はぼう大なレポートが課されて、9月になってから必死に図書館に通いはじめたものですが、最近は事情が変わっているのかもしれません。以前の記事で、コピペで小・中学生の読書感想文をコピペで作成できるサイトを紹介しましたが、最高学府たる大学でもコピペレポートがまん延しているそうです。
約4割のレポートがコピペ利用―発見ソフトで判明
昨年のきょういくじんの記事でも、大学生のコピペレポートが増えていることを伝えていますが、8月16日の読売新聞の記事によると、大学の課題に対して、インターネット上の文章をまるまる「コピー&ペースト」で引き写し、自分のレポートとして提出する学生が増えている事態に対応して、阪南大の花川典子教授らがコピペを発見するプログラムを開発したとのことです。阪南大学のHPでその検索ソフトについて紹介されているのですが、驚いたのは試用実験の結果です。全学部58科目のレポート試験で実験したところ、なんと5249件のうち1994件でコピペが見つかったというのです。
コピペと認められるのは、文章全体のうち60%以上が引用元と類似している場合とされていますので、一概にコピペレポートと決めつけることはできないのかもしれません。しかし、約4割ものレポートにコピペの疑惑がかけられたという事実は、私たちが思っている以上に、学生の間でコピペレポートが広まっている可能性を示唆しています。
コピペ支援サイト? 「HAPPY CAMPUS」でレポート共有
一方、ネット上でレポートを共有して、学生のレポート作成を支援するサイトもあります。「HAPPY CAMPUS」は、会員制のサイトで、自分のレポートをアップロードすることでポイントを得ることができ、そのポイントを使って他人のレポートを購入することができるという「オンライン知識取引所」です。電子マネーを使った取引も可能です。
アップされている文書を見てみると、やはり大学のレポートや試験の解答などが数多く並んでいて、大学生が課題をこなすために利用している姿が想像されます。通信制大学の教職系科目のレポートなども目につき、教育界の行く末に軽い不安を覚えてしまいます。
「HAPPY CAMPUS」自体は、コピペレポートを推奨するサイトではなく、「レポートの書き方」というコンテンツでは、参考文献を明記するという引用のルールを説明しています。さらに、多くの本や論文を読むことで良い文を書く方法を学べるので、「HAPPY CAMPUS」の資料を利用しながら、その資料を超えるレポートを作成してほしい、という主張が示されています。たしかに、多くのレポートや論文に触れることは貴重な体験と言い得るので、結局は利用する人のモラルが問われているのかもしれません。
大学生活は、じっくり時間をかけて、自分の「論」と文章に向き合えることができる最後のチャンスです。クリックをするだけでインスタントにレポートを作成していては、例えつたないものだとしても、オリジナルの考えを生み出す機会を失ってしまうのではないでしょうか。発見ソフトなどのツールが抑止力にならずとも、学生たちのモラルが回復することに期待したいです。