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大接戦のオーストラリア総選挙―各党の教育方針は?
kyoikujin
2010/9/8 掲載

 先月21日、オーストラリアで総選挙が行われました。初の女性首相となったギラード首相率いる与党・労働党と、政権奪回を目指す野党・保守連合。総選挙史上まれに見る大接戦となった各党の教育に関する基本方針と、注目の選挙結果を垣間見てみたいと思います。

オーストラリアの選挙制度

 オーストラリアでは1924年以降、満18歳以上の国民に有権者としての選挙人名簿への登録と投票を義務づける、義務投票制度が導入されています。この投票義務を怠った場合、告発や50ドル以下の罰金を科せられるなどの処置があるため、投票率は実に90%を超える高率を維持しているそうです。
 労働党保守連合(自由党+国民党)の2大政党制が長年続いてきましたが、今回の総選挙では、政権交代を目指す野党・保守連合の健闘による大接戦に注目が集まっていました。

各党の教育に関する基本政策

 ギラード首相率いる労働党は、2013年以降、学力がもっとも向上した500校に最大10万ドルの補助金を提供することや、専門知識や技術をもった会計士や科学者などの経験がある希望者に対し、わずか8週間の講習後教員の資格を認める制度の導入、優秀な教師上位10%に2014年から給料の10%に相当する額の賞与を支給することなどを打ち出しています。

 一方、アボット自由党党首率いる保守連合は、低所得地域の学校への補助金の提供を2016年まで続けることや、莫大な資金と進行の非効率を理由に、現在進行している全ての9〜12年生がコンピュータを使える環境設定を目指すプログラムの廃止、さらには現在3・5・7・9年生を対象として毎年5月に行われている全国一斉テスト(NAPLAN)を3〜10年生の全ての学年でも実施することなどを打ち出しています。

大接戦となった総選挙の行方

 接戦の末、今年5月に行われたイギリスと同様、結局どの党も議席の過半数を獲得することができない「宙づり国会」状態となる可能性が高まっており、現在各党で少数派である緑の党(左派)や無所属議員(保守系)の取り込み交渉が行われています。開票の正式な結果が出るには、1か月ほどかかると見込まれています。

 日本とは異なる選挙制度をもつオーストラリア。Australian Electorical Comissionのホームページ(英語)では、選挙に関する学校の教員向けの無料教材なども掲載されていますので、興味のある方はご参考にされてみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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