- 国語科指導技術
- 国語
- コメント(1)
子ども達の読むスピードを引き出し、緊張感を持たせるには?
これまでの国語授業
教師の範読に続いて音読させる
教師が読んだ後に子どもに読ませる「追い読み」は、音読指導の中でも最も基本的であり、重要な指導法の一つです。教師が範を示し、子どもの読み声を引き出していく効果があります。
しかし、「追い読み」には、短所があります。それは、時間がかかり、子どもが飽きやすいということです。教師が読んだところを子ども達にも同じように読ませますから、単純に考えて、普通に読む場合の二倍の時間がかかります。
ですから、何も工夫せず「追い読み」をすると、私の経験上、多くの子どもは飽きてダラけてきます。
国語科指導技術・ニューノーマル
「追い読み」は二、三文字かぶせて読む
そこで、「追い読み」をする際は、子どもが読み終える二、三文字前から次の文を読むようにしましょう。
こうするだけで、驚くほど子どもはシャキッとし、緊張感をもって音読に取り組むようになります。
そもそも、普通に読ませると子どもの音読は遅すぎます。その上「追い読み」で二倍の時間がかかってしまえば、飽きるのは当然と言えます。ですが、「もっと速く読みましょう。」と言ってもなかなか伝わりません。
そんなとき、この指導技術を使うと、子どもは自分たちが読み終える前に次の文が教師によって読まれるので「どんどん読まなきゃ!」という気持ちになり、結果的に読むスピードも上がっていきます。
音読は非常に重要な学習であり、音読力は読解力の基礎となる力です。しかし、音読はややもすると単調でただ読むだけの活動になりがちです。特にこの「追い読み」は単調になりがちですが、こうした少しの工夫を加えるだけで、子ども達は新鮮で緊張感のある気持ちで、意欲的に取り組んでくれます。そして、結果的に読むスピードも上がっていき、スラスラ読み上げられるようになっていきます。
参考文献:野口芳宏(2012)『野口流 教室で教える音読の作法』学陽書房
ここがポイント!
- 「追い読み」の短所を補う工夫を加えよう。
正確に読む姿勢を身につけさせるには?
これまでの国語授業
難しい漢字の読みを重点的に指導する
日本語において、「は・を・が・こそ・も・さえ」などの助詞や「しかし・だから・ところで」などの接続詞は非常に重要です。
例えば「は」が使われるのと「こそ」が使われるのとでは、大きく意味が変わってきます。「太朗は優勝者だ。」という文と「太朗こそ優勝者だ。」とでは、そこから取れる意味合いが変化します。接続詞に関しても同様です。段落の頭に「しかし」とあるのと「だから」とあるのとでは、その後の展開は大きく変わります。
このように、助詞や接続詞は日本語において非常に大きな役割を果たしています。
そして、これらはその多くがひらがなで書かれます。これが厄介なところで、子どもは難しい漢字の読みは集中しても、ひらがなはいい加減に読んでしまうものなのです。
国語科指導技術・ニューノーマル
ひらがなの読み間違い、読み飛ばしの重大性を認識させる
例えば「2センチメートルほど取り…」という文を、勝手に「2センチメートル取り…」と読んでしまうようなことは多くあります。
これを、些細なミスと捉えてはいけません。そういうことをしていると、いつまで経っても「言葉を大切に扱う子」には育ちません。一語一語の意味を深く考え、思慮深く言葉を使おうとする子には育ちません。まずは、教師が「日本語においてひらがなは重要だ」という捉えを持つことが重要です。音読におけるひらがなの重要性に関しては芦田(1987)でも指摘されています。
子どもがひらがなを読み飛ばしたり、読み間違えたりした場合は指導のチャンスと捉えましょう。
例えば、先のように「2センチメートルほど取り」を「2センチメートル取り」と読んでしまった子がいたら、一旦音読をやめ、この二つの意味を比較させます。すると「ほど」という言葉の重要性に気付けるでしょう。そのタイミングで、「音読ではひらがなをよく見よう」と声をかけます。一方的に教師が指導するよりも、子ども達自身から出てきたものを使って指導する方が、強く印象に残ります。
参考文献:芦田恵之助(1987)『芦田恵之助 国語教育全集』第9巻(明治図書)
ここがポイント!
- まずは教師が、文中のひらがなの重要性を捉えること。
★今回ご紹介した指導技術を含め、土居正博先生の最新刊ではよりたくさんの技術を掲載しています!⇒『クラス全員のやる気が高まる!音読指導法』
-
- 1
- !S!WCRTESTINPUT000000!E!
- 2021/7/6 15:57:01
!S!WCRTESTTEXTAREA000001!E!