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子どもの“携帯依存”脱却を目指す提言公表―大阪府教委
kyoikujin
2008/12/4 掲載

 大阪府教育委員会は3日、「携帯・ネット上のいじめ等、生徒指導上の課題に関するとりまとめと提言」を公表した。同文書は、府教委が7月に小学校2年生から高校3年生を対象として実施した、携帯電話の利用についての実態把握調査の結果報告を踏まえたもので、児童生徒の携帯電話の使用に関する「6つの課題」と、その解決のための「7つの提言」を取りまとめている。

 調査結果によると、中学1年生の2人に1人が携帯電話を所持し、6人に1人が携帯電話を1日に3時間以上操作し、4人に1人がメールを31回以上(51回以上は9人に1人)送信し5分以内に返信(3分以内は6人に1人)するなど、携帯電話への依存傾向の高さが伺える。そして、依存傾向の高い子どもほど家庭での学習時間が短く、ネットいじめ等の被害に遭った割合が高く、加害者になる割合も高いとのことだ。

 また、携帯電話でいやな経験をした子どもは、小学4年生で6人に1人、中学1年生では3人に1人となっている一方、誰にも相談しなかった子どもの割合は学年が進むにつれて増加している。中でも、掲示板やブログでの悪口による被害体験は、保護者が子どもの被害を認識できていない割合が高いようだ。

 こうした傾向に対し、同文書では以下の「6つの課題」を挙げて分析し、これらを解決するための方策として「7つの提言」を示している。

6つの課題

  1. 児童生徒を依存から脱却させるための方策の確立
  2. 携帯電話所持に伴う危険性の児童生徒への周知と、被害から守るための対処方法の指導
  3. 被害を受けた児童生徒やその保護者に対する効果的な相談体制の確立
  4. 加害行為が犯罪につながることの児童生徒への周知
  5. 学校における携帯電話の使用に関する方針の明確化と指導の徹底
  6. 家庭におけるルールづくりと携帯電話の危険性についての保護者への啓発

7つの提言

  1. 小中学校は、学校への児童生徒の携帯電話の持ち込みについては原則禁止、府立学校は、校内において、原則使用禁止
  2. 家族で話し合い実行する5つの約束
  3. 入学・卒業時など適切な時期における効果的な指導と工夫ある周知・啓発
  4. 関係機関や専門家との協働による早期発見と早期対応
  5. 学校における相談体制と第三者性を活かした支援の充実
  6. 対処方法等の指導プログラム(マニュアル)を活用した児童生徒への効果的な指導の推進
  7. 「携帯・ネット上の誹謗中傷」は「犯罪への入口である」という指導の徹底

 調査結果からは、保護者が子どもに携帯を所持させる理由として、子どもの所在確認や緊急連絡など防犯面の理由を上げる割合が高いことも伺える。防犯のためならより防犯に適した対策を考えればよいと言いたいところだが、どうやら携帯電話を持つことが最善策とも言える現状を結果が示した様子であり、提言の1つ目に挙げられた小中学校への携帯電話の持ち込み禁止には反発がありそうだ。

 池田小学校の児童殺傷事件や、四川大地震による校舎倒壊など、学校の安全が脅かされる事件も記憶に新しいが、こうした事件をきっかけに学校の安全面への配慮が広がりつつあるのも事実であり、勉強が本分の学校内で、子どもが携帯電話を使わなければならない事情はほとんどないとも言えるのではないだろうか。

 文部科学省によれば、都道府県が学校内での携帯電話の持ち込みや使用を禁止するのは初めてとのことだが、今回の調査が指摘するような子どもの携帯依存という深刻な状況が確かにあるのなら、利便性ばかりを理由にして先送りにすることなく、社会全体の問題として今以上に多角的に分析し積極的に対策することが望まれるだろう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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