- 学級づくりにいかす!体育授業
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ハードル走の授業。足が速く挑戦心の強い子供は、ハードルをどんどん跳んでタイムを伸ばしていきます。一方、走るのが苦手な子どもやハードルを怖いと思う子どもは、いつまで経ってもハードル手前で減速してしまいます。結果「ハードル走は痛くて怖いから嫌」という子どもが多く出てしまいました。
授業でのこんな失敗ありませんか?
今回は、体格差や技能差によって場の工夫が必要になるハードル走の指導のポイントをテーマにとりあげました。
ポイント1身長別によるチーム構成にし、ハードルの高さの有利不利をなくす
ハードル走が独自にもつ運動の楽しさは、障害物であるハードルをリズミカルに走り越えることの心地よさにあります。
しかし、スピードに乗れないとハードルを越すごとに大きく減速してしまい、この運動の楽しさの本質を味わえません。
ここには、足の速さはもちろんですが、身長差による有利不利も大きな要素になります。この「個人差を埋める」というのが大切なポイントです。
個々の子どもの間には身長差が30cm以上あるのに、同じハードルの高さである必要はありません。それは全員が同一サイズの服を着せられているようなものです。競技会ならインターバルも高さも揃えますが、ここは体育の授業であり、本来の目的に立ち返ることです。
そこでチームを同一範囲内の背の高さのメンバーで構成し、チーム毎にハードルの高さを股下程度に指定します。(44cm〜68cm程度の8cm毎4段階設定)
これにより、ハードルの高さによる有利不利の差を緩和します。
このチーム構成だと技能差が大きくなりますが、それがいいのです。技能差があるチームの方が、教え合いが生じやすくなります。
他にもタイムの伸びをチームで得点化するなど、互いに必然的に関わり合いながら進められる授業構成にしていくことが大切です。
ポイント2自由にインターバル変更できるシステムにし、教え合いも促す
高さ以外の個人差に、インターバルの違いがあります。
そして高さ調節とインターバル調節のどちらが大変かというと、高さ調節です。左右の支柱が少し曲がっていてやたら固かったり、下手に力んで無理に引っ張って指を挟んだりします。
その点インターバル変更なら、人がそこにいて目印さえしっかりあれば一瞬です。
そこで、写真のように1人1台ずつ横から仲間を観察させる役割を持たせます。
本校のグラウンドは地盤が非常に固く、全てのコースのインターバル毎に目印の杭をうつのは大変です。そこで予めメジャーにインターバル毎の色別になった目印のシールを貼っておき、それを設置しています。(5.5m・6m・6.5mの3段階)
これにより、走者の希望でインターバルを一瞬で自由に変えられます。
また、ハードルの横について安全に観察がしやすいよう、1チーム3mの幅を使用できるようにしています。計測時には、準備ができたチームは座り、スタートと同時に立つという約束にしておきます。安全面への配慮は大切です。
また、せっかく一人一台ついて観察しているので、ゴールしたらチーム全員がゴール地点の走者に気付いたことを最低一つは伝える約束にします。
自主的にできることが理想ですが、最初は約束として組み込み、習慣化させてしまう方が、最終的に自主的で協働的な学びに近付きます。
ポイント3用具の一工夫で、思い切り低く走り越える楽しさを味わわせる
ハードルを低く走り越せない子どもを観察すると「ハードル前の減速」「踏切位置が近い」「前脚が伸びていない」というように、主に踏切時の課題が見られます。
これら個別の課題を仲間の観察によって明らかにし、各自の課題に応じて練習方法を工夫させていきます。
そのための手助けとして、用具を一工夫します。下の写真のようなフレキハードルの使用や、コーンとゴムひもの利用、目標の踏切位置にお手玉で目印をつけるなど、個別の課題に応じてチームで工夫して練習できるようにしていきます。
本物のフレキハードルは1台1万円以上するので、手作りしました。写真のフレキハードルはホームセンターで材料を揃え、一台当たり1500円程度です。
用具の一工夫だけでも、動きがぐっと変わります。ハードル走は「怖い」のイメージを「楽しい」に変える一工夫をしていきましょう。
今月の格言
ハードル走では、
体格やスピードの個人差に対応できる場の一工夫を!