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ティーボールの授業。バッティングやキャッチボールの練習の後、ルールを確認して試合開始。しかし、打てない&捕れない、投げられない女子に文句を言う野球好きの男子。しかも、攻撃中はやることがなくおしゃべりタイム。結局大した汗もかかずに満足感のないまま授業が終了してしまいました。
授業でのこんな失敗ありませんか?
今回は、運動量が少なくなりがちで、個人の技能差の大きいベースボール型ゲームの指導のポイントをテーマにとりあげました。
ポイント1「運動量確保」と「技能習得」の困難さを理解する。
ベースボール型ゲームにおける特有の指導の難しさは「技能の多様さ」と「運動量の少なさ」です。
技能の多様さは、非日常な「バットを振って小さなボールに当てる」という技能や、捕る、投げる、という技能。加えて捕ったらどこに投げるのか、打った後にランナーは走るべきか止まるべきかといった的確な状況判断が必要です。
また運動量の少なさは、攻撃時の待機時間の長さが第一の原因です。さらに、守備時には判断の難しさも手伝って特定の子どもに頼ってしまい、動かないことが第二の原因です。
![イラスト](/db/eduzine/pe4class/20160796_1.jpg)
つまり、草野球等の遊びの経験の少ない子どもにとっては、非日常でかなり複雑な運動だといえます。そういう子どもにとって、普通に野球として行えば、当然「嫌い」となります。
この辺りの困難さをまず指導者側がおさえておくことが第一歩です。
では、今号ではまず楽しさの入り口になるバッティングの技能習得について述べます。
ポイント2バッティング指導は「足」に絞る。
意外と多いのが「バットを持ったこともない」という状態の子どもです。
ここでは持ち方や振り方等の最低限の基本をまず教えます。
ただ、手取り足取り指導しても、なかなか強い打球は打てません。
バッティングは手や腕で行うものではなく、走ることと同様に全身の複雑な連動が必要な「全身運動」だからです。
そこで、効果的なポイントを一つに絞って教えます。
体の部位としては「足」です。
まず立ち位置の足ですが、ミートのタイミングをイメージするとティーの真横に立たせたくなりますが、かなり手前にします。
そして、「打つ前に前足を上げる」ということだけ指導します。
![写真1](/db/eduzine/pe4class/20160796_2.jpg)
これにより、ミートの瞬間には必然的に全身が前に移動することになります。
重く長いバットを持った手は出遅れるため、自然とバックスイングをとる形になり、体重が乗ったバッティングが実現します。
なお、最初に遠くに立つほど、踏み込みは大きくなるので、より腰の入ったスイングを引き出せます。
あれこれ色々な指示を出さずに、意識させる部位を絞ることがポイントです。
ポイント3待ち時間こそバッティング練習のチャンス。
また、もう一つの悩みで「そもそもボールにバットが当たらない」というのがあります。
バットを振る経験を多く積むのが最も大切ですが、用具数の関係もあり、単に素振りを繰り返すのもなかなか時間がとれません。
そこで、次のバッター用に「ネクストバッターサークル」を用意しておき、思い切り振る練習をさせておきます。これにより、待つ時間を有効に使いながら練習ができます。
![写真2](/db/eduzine/pe4class/20160796_3.jpg)
中には試合で使うものと同じティーとバットを置いておきます。ただし、ボールは置きません。ボールがない状態の方が、気負わず思い切り振れます。
また、ティーの高さを予め自分の高さに調節しておけるので、そのままバッターボックスに持っていって交換することもできます。ティーの高さを調節する時間の節約になります。
「ティーを倒してもいいから、思い切り振ろう」と声をかけておくことで、力一杯振れるようにするのがポイントです。
今月の格言
複雑な動きほど
指導する部位を絞ってシンプルに!