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- 学級づくりにいかす!体育授業
- 保健・体育
運動会といえば、表現種目は花形です。ある職員室での会話。今年は何をやるか、それぞれの学年で話し合っています。高学年では、「組体操、どうする?」「無理でしょ」との声。低学年では「1年生じゃ難しい動きとか無理」「ポンポンを持たせたら腕が伸びてなくてもわからないんじゃない?」と、どうしたら見栄えがするかを話し合っています。
職員室でのこんな会話ありませんか?
今回は今旬な話題である「「運動会の在り方と組体操」をテーマにとりあげました。
ポイント1運動会は何のため?から見直そう。
学習指導要領上において運動会は「体育」ではなく「特別活動」の「学校行事」の中に次のように位置づけられています。
(3) 健康安全・体育的行事
心身の健全な発達や健康の保持増進などについての関心を高め,安全な行動や規律ある集団行動の体得,運動に親しむ態度の育成,責任感や連帯感の涵(かん)養,体力の向上などに資するような活動を行うこと。
つまり、「体育の学習をベースとした学校行事」という位置づけになります。
しかし、運動会の歴史を遡っていくと、明治時代の海軍兵学校のものが最初とされています。鍛錬の要素が強く、集団行動が重視されたようで、多分に軍事的な面を含む行事であったようです。
運動会の本来の意義を考えた時、やはり体育的要素を外してはならないと思います。それは同時に、体育の授業の最低条件である「安全・安心」を含むものでなくてはなりません。子どもの運動能力や身体表現に、体育的指導の結果が具現化されているようなものが望ましいでしょう。その上に、見栄えを考えるべきです。
![イラスト](/db/eduzine/pe4class/20160667_1.jpg)
ポイント2組体操で具体的に答えるべき4つの点
周知の通り、文科省より、組体操実施への注意喚起がなされました。ここで単に「危ないと言われたから組体操は止めます」ではなく、これを一つチャンスと考えます。今まで一体どういう配慮をしながら、どんなねらいでやってきたのか振り返りましょう。
組体操は、一見すると困難なところを、個人の努力とチームワークで克服するところに価値があり、感動があります。つまり、必ず危険や困難がつきまといます。
だからこそ、安全面に最大限配慮したという説明ができることが大切です。
具体的には、次の4点について、具体的に答えられるようにしましょう。
1.各技の体育としての価値(どんな力がつくか、必要か。)
2.人数の根拠(なぜ3人ではなく4人か、など。)
3.組み方の根拠(手のつき方や腕の組み方等の知識。)
4.失敗した時の安全面への配慮(万が一でも大丈夫。「エアバッグ」の発想。)
![写真1](/db/eduzine/pe4class/20160667_2.jpg)
ポイント3普段の体育が組体操のベース
運動会は、体育を中心とした普段の学校教育の成果の発表の場です。信頼づくりをしながら行う春の運動会と、運動の成果の発表としての秋の運動会では、ねらいが変わるということです。
いずれにせよ、組体操をさせるのであれば、普段の仲間との信頼関係が必須です。意地悪をされたり、ふざけて傷つけたりされるような人間関係においては、組体操はできません。
ここまでの、普段の体育が勝負です。
リレーの授業で、仲間を信頼して前を向いて全力で走ってバトンが受けられたか。
器械運動の授業で、励ましやアドバイスの声をかけ合う、補助し合うということがなされていたか。
ボール運動の授業で、失敗を責めずにチームでの前向きな対話が繰り返されていたか。
これらのことがどれぐらいできているかと、子どもの体力を考慮して、技の大きさを決めていきます。
普段の授業で支え合いが成立しなくても大事には至りませんが、これが組体操で起きたら大ケガです。だから、失敗できるところで先に鍛えておくことが重要です。
運動能力面についても同様で、組体操以前に、普段の遊びや体育の授業の中で基礎を育んでおきます。うんていや登り棒、鉄棒などで遊ばせたり、手押し車や馬跳びをさせたりして、普段から筋力やバランス感覚を鍛えておきましょう。
![写真2](/db/eduzine/pe4class/20160667_3.jpg)
今月の格言
安全・安心を前提に
子どもの能力に応じた組体操を!