- 学級づくりにいかす!体育授業
- 保健・体育
水泳の授業。水が大の苦手のA君はプールサイドに近づくのも怖く、決して入ろうとしません。プールサイドで足をバタバタやるところまでは何とかできたのですが、その後は全く動かず。とにかく入れば何とかなると思い、周りがなだめすかしてやっと入れた途端に「冷たい!」「怖い! 怖い!」と大騒ぎ。すぐに上がってタオルにくるまってしまい、次から決して入ろうとしませんでした。
授業でのこんな失敗ありませんか?
今回も、水が苦手な子どもへの、夏休みの特別水泳指導をテーマにとりあげました。
ポイント1「顔を水につける」はハードルが高い行為と心得る
顔は、呼吸器である口に近いので、極端な話「息が吸えなくなって溺れて死ぬかもしれない」という恐怖感があります。また、目をつぶると、見えなくなってこれも一層恐怖心を駆り立てます。
だから、他の部位は大丈夫でも、顔、特に目と口の周辺に水がかかるのだけは極度に嫌がります。
プールサイドに洗面器を用意して、そこに顔をつける練習から始めてもよいでしょう。ここまで押さえた上で、どう安心感を持たせ、水に慣れさせるかがポイントです。
学習指導要領解説の1・2年生の例示にも「胸まで水につかって大きく息を吸ったり吐いたりすること。」とあるように、水に入って呼吸するだけのことでも学習に値するのです。
ポイント2体が触れる安心感で慣れさせる
安心感を持たせる行為の代表格は、抱っことおんぶです。
これは、友だち同士でも可能ですが、不安感の強い子どもには、やはり大人がいいでしょう。
おんぶして歩いていると、水がはねることもありますし、「うっかり」足がすべってしまうこともあります。子どもの顔に水がかかります。「ごめんごめん」などと言いながら、プール内を歩き回りましょう。少し深いところでも、先生と一緒なら安心です。(ただし、プールの真ん中で「うっかり」すべるのはやめましょう。慣らすつもりが、本当に怖がり、逆効果です。)
抱っこが難しいような相手の場合、浮き輪や下の写真のような救急用具(ライフガードチューブ)を持って引っ張って入る方法もあります。
ポイント3意図を持って用具を活用する
プールではどんな道具を使っていますか?
◆石拾い用ゴムボール
本校では、下のようなゴム製5色の「石」があり、「石拾い」遊びに活用しています。この5色。5色あるのには意味があります。
プールの底面及び壁面の色は青系なため、写真の右にいくほど、見えにくくなります。一番左の赤は、水上からもよく見えます。
つまり、赤は一瞬潜るだけで拾えますが青を拾うには目を凝らさなくてはなりません。レベルに応じて使い分けるのです。
用具の色一つとっても、使用するときはその細部まで考えて使うことが大切です。
◆さまざまなサイズのビート板
本校には下記のようなさまざまなビート板があります。
いたずらではありません! 意図をもって、切ってあります。
普通のビート板は浮力が大きい分、そこに頼ってしまいがちです。そこを徐々に小さいものにしていくことで、無理なくステップアップさせることができるのです。最後の破片のようなものであっても、意外と安心感をもたらします。また、クロールの手の動きを邪魔しにくいので、なれてきた子どもには使いやすい道具となります。
用具も上手に活用することで、無理なく水泳を得意にさせることができるのです。
今月の格言
水泳が苦手な子どもに、無理と根性は禁物。安心を引き出す用具を上手に使おう!