- とっておき算数授業
- 算数・数学
本時のねらい
長方形の縦の長さと横の長さの関係を表に整理することを通して、二つの数量(長方形の縦の長さと横の長さ)の和が一定になっていることに気付く。
板書
板書のとっておきポイント
授業を三つの段階に分けてイメージした。板書がこの三つの段階でつながるよう意識した。
- 場面を図と式で解釈する段階
- 図からきまり(縦の長さが1p増えると横の長さが1p減る)を見付け、表に表す段階
- 表から新たなきまり(縦と横の長さの和が一定)を発見する段階
授業の流れ
1場面を図と式で解釈する(13分)
22pのひもを長方形の形にすると、どんな長方形ができるかな?ノートに描いてみよう。
えっ、色々な長方形ができるんじゃない?
うーん。うまくできないなあ。
長方形をうまく作れずに困っている子が多くいたため、ここでの困り感を全体で共有することとした。
縦の長さを1pにしようとしていた子がいました。でもこの子はここで止まってしまい、困っていました。この子の気持ちが分かるかな?
横の長さを何pにすればいいか分からなくなったんじゃない?
私も数値は違うけど、同じことで困っていたよ。
横の長さは計算で出せるよ。
全体から縦の長さを引けばいいんだよ。
22−(1+1)=20 、 20÷2=10で10pだよ。
今言ってくれた式の中で、分からない部分がある人はいますか?
(1+1)って何?
縦の長さが1pで、それが二つあるから1+1なんじゃない。
そっか。全体から縦の二つ分の長さを引いて、それを2で割れば横の長さ一つ分が出せるってことだね。
僕は、(1+10)×2=22って考えたよ。
しくみが分かれば、縦2pで困っていた人も、縦3pで困っていた人も解決できそうだね。1分間で自分が作ろうとしていた長方形を完成させよう。
縦2pのときは、横は9pになるね。
縦3pのときは、横は8pだ。
2図からきまり(縦の長さが1p増えると横の長さが1p減る)を見付ける(12分)
そういうことか。おもしろい!
きまりがある!
えっ!?きまり?
きまりがあると言っている人の気持ちが分かるかな?
分かった!そういうことか!
どういうこと?分からないよ…。
まだ見えていないという子たちにヒントを出せるかな?ただし、声を出さずに動作だけで伝えてみよう。
(縦の辺を1p⇒2p⇒3pと順に指差した後、横の辺を10p⇒9p⇒8pと順に指差した。)
あー!そういうことか。
きまり分かった!
隣の人に今の○○さんの動作を言葉で説明してみよう。その後、話したことをノートに表現しましょう。
縦の長さが1p⇒2p⇒3pと1pずつ増えると、横の長さが10p⇒9p⇒8pと1pずつ減っていく。
3見付けたきまりを表に表す(10分)
先程の活動の際、ノートに表のように数を並べて整理している子を取り上げて…
○○さんがこのように書いていました(縦1〜3pのところのみ書いて提示する)。
あー分かる!
だったら続きがあるんじゃない?
続きがあると言っているけど、この続きを書けそうかな?ノートに続きを書いてみましょう。
その後、一人を指名し、続きを板書させる。
縦の長さが11pってダメじゃない?
縦が11pのときって横は0p。長さがない。
横が0pだと縦の2つの辺が重なって、ただの1本線になるよ(下の写真)。
そっか。じゃあ縦の長さは、整数の範囲では10pまでだね。
4表から新たなきまり(縦と横の長さの和が一定)を発見する(10分)
ノートに表の続きを書いていた際に「ポッキーみたいだ!」「新しいきまりを見付けた!」と呟いていた子の考えを取り上げて…
さっき〇〇さんが「ポッキーみたい!」って言っていたけど、この表の中に「ポッキー」なんてあるかな?
ポッキーなんて見えないよ。
縦と横を足すとポッキーになるんだよ。
あっ!本当だ!ポッキーって11になるってことか。
どこも全て11pになるね。
本当かな?全員で確認してみよう。
本当だ!全部11pになった。
11pになる理由が分かった!さっきの(1+10)×2の(1+10)の部分が11でしょ?縦と横の長さを合わせるといつも11pでそのペアが2組あるから全体が22pなんだよ。
そっか。全体の長さは縦と横のペアが2組分だから全体を2で割ると、縦と横の長さを足した長さになるってことだね。
いつも11pになるのには、意味があったんだね。
まだきまりを見つけたよ。面積を出してみたら、おもしろいことが分かった!
表にすると、きまりが見えやすくなるね。
授業のとっておきポイント
全体の学びを揃えながら、少し先が見えている子の考えを全員で解釈する場を作っていくというサイクルを回していった。
今回は、解釈の場面で、多くの子にきまり発見の喜びを感じさせ、それを言語化させることをねらい、ジェスチャー説明を取り入れた。非言語を取り入れたことで、その子の考えていることが分かったとき、その分かったことを表現したいというエネルギーが生まれたように感じた。言語化したくなる、つまり言いたいというエネルギーへと変わったところで、それをペアで表現させ、その意欲をもったままノートにも表現させた。
今回は、表に整理するという考え方を子どもから引き出すことができた。実際に子どもが書いていたのは、「表」というには、少し遠い表現であったが、それを全員で解釈し、広げていくことで「表」という形へと高めていくことができた。自分たちで表を完成させていく中で、さらにきまりが見えるようになったという子も出てきて、学級全体の思考が加速した。
※今回は「面積」の学習中に扱ったため、式化することはしなかったが、「ともなって変わる量」で扱う場合には、式化まで目指すとよい。