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- 言葉のワザ
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事例子どもに話を聞かせられる先生と子どもに話しを聞かせられない先生
初任者の頃、私が学年を組んだ先生は、子どもに話を聞かせるプロでした。
どんな場面でも、先生の話を子どもたちはしっかりと聞きます。
それが1対1でも、10対1でも、100対1でも、500対1でもです。
先生はタイプ的に言うと、「こわい」「厳しい」方の部類に入る先生でした。
では、子どもたちが聞くのは先生がそういうタイプの先生だったからでしょうか。
私は数週間にわたって観察し研究してみました。
すると先生のタイプにかかわらず、話し方の基本を押さえていれば、怖かろうと怖くなかろうと関係なく話を聞かせられることがわかりました。
話をうまく聞かせられる先生の特徴と同時に、話を聞かせられない先生の特徴も調べました。
すると、次のような傾向があることがわかりました。
話をうまく聞かせられる先生の特徴
・視線を聴き手に向ける
・一人称で指示
・端的な指示
・数字を入れて見通しをもたせる
・抑揚がある
・静まるまで話し始めない。ちょっと待つ
・聞く姿勢を整えさせる
・質問は最後
・最後に聞き方をきちっと評価する
話をうまく聞かせられない先生の特徴
・視線が下や中を向く
・無駄な言葉が多い
・抑揚がない
・静かになっていないのに、話し始める
・質問を途中で受け付ける
・話が長い
解説
子どもに話を聞かせる話し方テクニック
口に発する前にいったん立ち止まって、次のことを意識するようにします。
1 視線を聴き手に向ける
視線はNかZの形に動かします。1人ずつ2秒程度、視線をおくと「見られている」と聞き手は感じます。視線が宙を浮いたり、下に行ったりすると、聞き手に緊張感が生まれず「聞かなくてもいいや」という雰囲気になってしまいます。
![挿絵B](/db/eduzine/tchc/20190749_3.png)
2 一人称で指示
指示の際は、「○○してください」ではなく、一人称で伝えます。
「静かに聞いてください」→「静かに聞きます」
「並んでください」→「並びます」
「書きましょう」→「書きます」
3 端的な指示
「え〜」「あの」「じゃあ」「はい、では〜」「それと〜」などの無駄な言葉を削ります。子どもの注意力が散漫になります。大事な言葉だけを伝えるようにします。
なるべく句点を多くし、一文を短く区切って話すと大変聞きやすくなります。
4 数字を入れて見通しをもたせる
「3つ話します。1つずつ指を折って聞きます。1つめは〜」と数字を入れることにより「3つあるんだな」と見通しがもてます。また指を折るなど、少し動作化することで、しっかり聞けるようになります。
5 抑揚がある
単調だと聞いている方がしんどくなります。抑揚、緩急をつけると、低学年の子どもたちは特に反応します。
6 静まるまで話し始めない。ちょっと待つ
これがとても大事です。
静かになっていないうちに話すと、子どもの声につられて、先生の声もどんどん大きくなりのどを痛めます。それでいて、聞く子は多くありません。子どもが騒がしいときは無言で待ちます。ちょっと待つだけで、スッと静かになります。それから話し始める習慣をもちましょう。
7 聞く姿勢を整えさせる
「2分間以内で終わる話です。ただ、とても大事なことです。背筋をスッと伸ばし、手を置いて静かに聞いてください」
このように言ってから話を始めます。
手を置かせること、目と体の向きをこちら側に向けることはとても大事なことです。
全員にしっかりと指示を伝えることが必要です。
8 質問は最後
「質問は最後に受けます」とはじめに伝えます。
途中で受けて、1人ずつ答えていくと時間がどんどんなくなっていきますし、最後まで聞いていれば、途中で質問しなくても済むことがほとんどです。
一人ひとり対応していると、最終的には先生が「質問は最後!」と怒る羽目になってしまいます。
9 最後に聞き方をきちっと評価する
聞き方がどうだったか、しっかりと評価しましょう。
先生は子どもたちに話を聞くように要求したわけです。それに応えてくれた子どもたちに対し、御礼と評価は必ず忘れないようにしたいものです。できるだけ、ほめて終わるようにします。
10 人前で話す自信がない先生へ
以下の方法で話し方を磨くことをお勧めします。
1 校内で尊敬できる先生を見つけて真似る。
2 YouTubeなどで素敵な演説者、プレゼンターを見つけ繰り返し見る。
3 1、2のイメージを刻み込んで、毎週2つのワザを練習する。
4 その週に合格したら次のワザに移り、合格しなかったら翌週も練習する。
ここがポイント!
- 端的な指示、数字を入れて見通しをもたせる!今月の「言葉のワザ」
- 静まるまで話し始めずにちょっと待つ!
- 聞く姿勢を整えさせる!
- 話し方を磨く練習は「毎週2つずつ実践し自己評価」!