ほめ言葉で子ども&クラスが成長する!菊池道場の価値語録
子どもの笑顔がみるみるあふれる! プラスに考える学級づくりの羅針盤
ほめ言葉で子ども&クラスが成長する!菊池道場の価値語録(16)
あたたかいつながりのある学級をつくる価値語録
菊池省三監修菊池道場広島支部
2017/9/10 掲載

いよいよ2学期がスタートしました。2学期は、子どもたちの成長につながる行事=非日常が多く予定されている学校も多いことでしょう。非日常での成長をさらに加速させるためにも、子どもたち同士の「あたたかい関係性」という土台が必要になってきます。子どもたちの人間関係を広げたり深めたりしながら、あたたかいつながりのある学級をつくっていきましょう。

リフレーミング力

 リフレーミングとは「見方を変えてとらえること」です。これまでの自分の見方を変え、違う角度からとらえてみましょう。マイナスもプラスにとらえることで、相手の新たな一面に気づくことができます。

 「あの子って○○だからいや」「あの子はいつも△△だから…」そんな声が学級の中から聞こえてくることがあります。素直だからこそ、子どもたちは相手のマイナス面をそのまま受け止めてしまっているのでしょう。しかし、少し見方を変えるだけで、その人のマイナス面をプラス面としてとらえることができます。「怒りっぽい→情熱的・一生懸命」「口が悪い→素直」「しつこい→粘り強い」そうすることで、相手のよさに気づき、相手に対するリスペクトが生まれ、新たな人間関係が生まれるきっかけになるのではないでしょうか。こういった見方を、教師自身が心がけておくことも大切です。

イラスト

できたかできていないかよりも、伸びたか伸びてないか

 「できたかどうか=結果」よりも「伸びたかどうか=成長(過程)」を大切にしましょう。がんばりや成長にも目を向け、認め合えるからこそ、あたたかさが生まれます。

 Aくんは「長時間落ち着いて椅子に座ることができない」という特性をもっており、授業中に立ち歩いてしまうことが多い子です。そのため、前年度までは注意を受けることが多かったそうです。今年度、長時間落ち着いて椅子に座ることはできていないものの、立ち歩くことは少なくなりました。そんなAくんの変化に気づいたBさんが「去年にくらべたらAくん、がんばっとるんよ」と教えてくれました。その瞬間、Aくんのうれしそうな笑顔とともに、その場にあたたかい空気が生まれました。「座れているかどうか」に目を向けるだけでなく「座れる時間が伸びたかどうか」に目を向けることが大切です。成長を認め合うサイクルを学級にあふれさせていくことで、あたたかい空気を作り出していきましょう。そして、その輪を広げていきましょう。

クッション笑顔

 コミュニケーションでは笑顔を大切にしましょう。笑顔がクッションのようにふんわり柔らかく、優しさのあるコミュニケーションをつくってくれます。そうすることが、お互いの心を通わせることにつながります。

 行事に向けての話し合いや授業での白熱した話し合い、新たな人間関係を築くための話し合いなど、2学期も多くのコミュニケーションの場が教室にはあふれることと思います。「こうしたい」「自分はこう思う」「どんな話ができるかな」そういった真剣さや不安があるほど、表情は硬くなってしまうのかもしれません。そんなときこそ「笑顔」を思い出しましょう。「今、自分の表情、笑顔になっているかな」そう心がけながらコミュニケーションしていくことで、相手を思いやることができ、柔らかなコミュニケーションを通して、お互いの心を通わせていくことができるのではないでしょうか。

菊池 省三きくち しょうぞう

愛媛県出身。山口大学教育学部卒業。 小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーション力あふれる教育をめざしてきた。 教員同士の学びの場「菊池道場」を主宰し、その支部は全国40ヵ所に広がっている。「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられたことをきっかけに全国へ講演。 「世界一受けたい授業」では、学級崩壊立て直し人として紹介される。2015年3月に小学校教師を退職。自身の教育実践をより広く伝えるため、執筆・講演を行っている。『ほめ言葉手帳』には価値語録とともに、子どもをほめる手立てが満載!

菊池道場広島支部きくちどうじょうひろしましぶ

平成26年8月発足。本部は広島市にある。在籍数21名。月に1〜2回、広島県内一円から教員や精神対話士などが集まり学習会を開いている。月刊誌『授業力&学級経営力』(明治図書)、『白熱する教室 創刊号』『価値語100ハンドブック』『1年間を見通した白熱する教室のつくり方』(以上、中村堂)などに執筆協力多数。

(構成:茅野)
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