現代教育科学 2004年8月号
楽しい授業・学校論を問い直す

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現代教育科学 2004年8月号楽しい授業・学校論を問い直す

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ジャンル:
教育学一般
刊行:
2004年7月8日
対象:
小・中
仕様:
A5判 116頁
状態:
絶版
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目次

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特集 楽しい授業・学校論を問い直す
提言・楽しい授業・学校論の問題点―児童中心主義の空しさ
児童矮小主義にまで堕落した児童中心主義
横地 清
〈子ども〉を否定しよう
宇佐美 寛
楽しさと背中合わせの非情・悲劇
松下 良平
「児童中心主義の空しさ」を説くことの空しさ
渋谷 孝
「問題解決学習」は楽しい授業づくりになるか
確かな学力と価値ある課題の解決力
菊池 乙夫
「〇〇型」などと陰口はやめて、日々の子どもの事実を示すべき
木村 重夫
「活動主義」は楽しい授業づくりになるか
「活動重視」の学力形成型授業にせよ
柳谷 直明
算数的な活動を取り入れることで楽しい授業となる
菊池 靖志
「体験的学習」は楽しい授業づくりになるか
「ねらい」は、子どもに学力をつけることである
吉川 廣二
知的な活動と表現の場が必要
岩下 修
新しい切り口としての「楽しい授業・学校論」の提唱―校長として
事実から理論を導き出す
吉永 順一
「できる」を最優先にする授業こそ楽しい授業である
槇田 健
「子どもが退屈しない授業」を
阿部 惣一
新しい切り口としての「楽しい授業」の提唱―国語の授業
国語がすぐ好きになる音声言語教材の登場
松藤 司
学習に対する自発性/学習活動に対する持続性
堀 裕嗣
新しい切り口としての「楽しい授業」の提唱―社会の授業
インターネットを活用した調べ学習に取り組ませる
吉田 高志
授業の楽しさを教える発言型授業
藤井 英之
新しい切り口としての「楽しい授業」の提唱―算数・数学の授業
教科書を軸にしたリズムとテンポのある授業
板倉 弘幸
「できる」子が退屈し、「できない」子が「できない」ままの授業でよいのか
井上 好文
新しい切り口としての「楽しい授業」の提唱―理科の授業
CO2を削減する世界最先端の日本の技術を授業化する!
小林 幸雄
生徒を感動させる楽しい授業
小森 栄治
小特集 教育基本法見直しの視点とは?
美しい日本人の心を育てる教育の創造
安藤 豊
制定時の立法意志に帰ればよい
齋藤 武夫
「国を愛する心」は育っているか
宮崎 俊哉
歴史と伝統に根差した基本法たれ
占部 賢志
教育ニュース・ズームアップ
1)「指導力不足教員」の実態調査 2)年々増える民間人校長の登用 3)日高教右派が教員評価で見解
安達 拓二
家庭の教育力の復権 (第5回)
家庭に入り込む「平等」過剰の禍
野口 芳宏
人権教育の再構築 (第5回)
その子にとってこそ必要な進路の保障を
長尾 彰夫
TOSS授業技量の検定 (第5回)
TOSS検定は教師を熱中させている
向山 洋一
「志」を育てる教育 (第5回)
志の土壌
新堀 通也
編集後記
江部 満樋口 雅子

■編集後記

◯…戦後の授業研究において「楽しさ」が問題になったのは、一九六〇年ごろからだと言われています。『授業研究重要用語三〇〇の基礎知識』によりますと「戦後の新教育が批判された後、子どもの科学的認識の育成を目指して盛んに行われた系統学習の弊害が顕在化した時期であった」としています。

◯…そこで問題になったのは、知識の詰め込み、落ちこぼれ、授業の不成立などであり、授業内容・方法の改革として浮上してきたのが「楽しい授業」への期待となったわけです。

◯…「楽しい授業」の視点から注目されたのが、「興味、生活、問題解決学習」といった要素でした。前記の解説によりますと、「水道方式」や「仮説実験授業」などは代表的な実践ということになります。それは九八年七月の教育課程審議会答申でも「学校は子どもたちにとって伸び伸びと過ごせる楽しい場でなければならない」との文言にも表れています。しかし近年の学力低下論争をめぐる文科省への批判は、「楽しい授業・学校論」への批判が底流として流れているとも言えそうです。

◯…「楽しい授業」といえば早い段階で「わかる授業」にトランプ、折り紙、ブラックボックスなど遊びや娯楽の要素を取り入れた遠山啓氏の提唱があります。また、板倉聖宣氏の「仮説実験授業」の提唱も子ども中心主義の教育観に裏付けられたものと言えるようです。このように七〇年初めの楽しい授業・学校論は、詰め込み主義の教育や競争主義・能力主義に対する批判でもあったと言えるようです。

◯…九〇年代の「新しい学力観」以降に再び問題となっている「楽しい授業」は総合的学習の体験学習や参加型学習によって蘇っていると言えます。本号は、この「楽しい授業」の本来の在り方を解明したいとする特集です。

〈江部 満〉

◯…「はじめまして。僕は、深谷圭助先生の生徒であり、深谷先生のクラスの社会科係を担当する、吉田慎吾といいます。(中略)

深谷先生が書いた本に関する問題について、僕は、8年前、国語辞典の使い方を教わった生徒としてみると、とても気分が悪い…」というメールをもらいました。

気分が悪いの元は、かの旺山英男校長先生が、小学校1年生が辞書を使うをマスコミでPRした事を指しています。

吉田君たちが授業を受けた実践は、1998年「小学校1年で国語辞典を使うようにする30の方法」深谷圭助著ということで小社から出ているからです。

つまり、「僕たちの先行実践を無視したのは、フェアではない。原典を出すのが常識ではないか」というわけです。被害者でもある私も、告発しなけりゃ同罪だーと言うメッセージだと解釈できそうで、いささかびびってます。

こういうことが罷り通り、生徒から被害届が届くとは、いやはや情けない…。

それにしても、深谷実践はこういう生徒を育てたのですね。大人になったら、ビールでも飲みましょう。吉田君!

〈樋口雅子〉

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