- 特集 無秩序からの脱却―社会的正義の実現へ
- 特集の解説
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- 実践記録 「やられている」者の思いを掘り下げる
- やられている者の思いってなんだろう―被害者の当事者としてどう立ち上がるのかを探る―
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- 僕も言いたいよ
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- 広はなぜ給食を食べたのか
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- 実践記録のコメント
- 思いを掘り下げるために―豊田、村木、留飯氏の実践を読んで―
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- コメントを受けて
- “当事者”ってなんだろう―被害と加害のつながりのなかで
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- 思いを出せるということは?
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- 加害としての教育
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- 無秩序からの脱却ー社会正義の実現へ
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- 暴力的秩序から平和的カオスへ―自己定義を剥奪されない関係を―
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- 第2特集 学校が消える―地域の学校を守る
- 学校リストラに対抗する「総合的な学習」の実践
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- 「るるる共和国」でみーつけた
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- 地域に学ぶ「総合的な学習」と学校・地域づくり―北海道A町B小中学校の「ふるさと学習」の実践と学校の存続―
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- 学校にとって地域とは何か
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- 今月のメッセージ
- 全国大会への願いと訴え
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- 第1回「非行」を考える全国交流集会
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- おとなと子どもの現在を問う
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- 集団づくり―わたし流メソッド (第4回)
- 小学校/「子どもと共につくる授業」へのアプローチのために
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- 中学校/つながりを豊かな活動でつくりだす
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- 同時代を生きる教師たち (第2回)
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- 〜トラブルは必死に生きぬこうとする姿〜
- 【コメント】今求められる学級づくりの視点
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- 全生研第43回全国大会参加要項
- 編集後記
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今月のメッセージ
全国大会への願いと訴え
常任委員 関 誠
いよいよ、八月一日から東京で開かれる全国研究大会が迫ってきた。憂慮すべき子どもたちの実態と
そのとらえ方、否定的な面ばかりではない可能性の発見、集団づくりの方法による生活指導の新たな発
想・方法化の試み……。多忙を乗り越えてなんとしても報告にまとめる準備をやり遂げて欲しい。同時
に、一人でも多くの参加者をつくるための取り組みも、ぬかりなく推進して欲しい。まずは、願いと訴
えを伝えたいと思う。
*
「二〇〇二年から正式施行」ということで、学校と教育の全面的再編成を追求する諸施策が打ち出さ
れている。すでに、それらの諸施策は、権柄づくで具体化推進されているが、これが、どのような思惑
を込めて、どのような決断のもとに打ち出されたものなのかの分析・学習はすすんでいるだろうか。こ
こではその解明に言及する余裕はない。大会での「『基調提案の学習』で主体的認識をしっかりつくろう」
と呼びかけたい。
私たちの「学級集団づくり」に関わる影響、そこから浮かび上がってくる課題について限定して述べ、
訴えをしたい。
「到達別少人数指導」、「興味・関心別学習の拡大(「総合学習の時間」の展開のしかた、「選択授業」の
拡大などがそれである)」
一つ一つバラバラに見るのではなく、これらが総合され発揮される影響を考えてみよう。
「組」の拡散と「級」の露出とシステム化を促進する施策が見えてくる。
私たちは従来から、子どもたちの学びの個別化・個人化を「学びの私物化を強めるもの」として批判
し、「学級集団づくり」の実践の中で、「学びの共同化」を追求してきた。
しかし、国は、前述のような施策を具体化推進することによって、年齢主義であった従来の学級を、
「能力」関心別に「学習」を組織して指導する課程主義の学級へと切り換えていこうとしているのであ
る。従来の学級は、子どもたちの格差(「級」)を分離せずに抱え込んだ「組」としての学級だった。し
かし「できる者」と「できない者」との分離をはかり指導することを強めれば、「組」としての学級は拡
散傾向を強めることになる。「組」としての学級を基礎とした基礎的生活集団とその日常がそうなれば、
私たちの「学級集団づくり」の方法による生活指導は、これまでよりさらに困難になる。(ましてや「学
級崩壊」という事態の拡大の中でである。)従来の「組」としての学級から「級」を露出させて分離し新
たなシステムに吸収させていく。つまり「分に応じた学び」、「複線コース」へである。従来からの学級
のとらえ方を変えなければならない、ということなのだ。
私たちはどうしたらよいのだろうか
次代の主権者を、共同して生きる諸能力をもった権利主体に育て上げていくためには、自治的集団を
つくりその中で主体形成をさせていくことが不可欠である。私たちは、それを、まず学級を手がかりと
して方法化をはかり実践追求をしてきた。その方法の基盤的条件を根底から揺さぶられ変化させられる
のである。
新たな「学級」の中の「組」をどう自治的集団として起ち上げていくか。「級」に応じた「学習集団」
をどのような集団づくりの方法によって指導していくか。それらに対応する形になる教師集団づくりを
どのように追求していくか。拡散し孤立化をさらに強めざるをえなくなる子どもたちに、どのような居
場所をつくり、集団づくりに取り組ませるか。
従来の方法にこだわっていたのでは対応できない。先を見通した新たな指導論を再構築しなければな
らない。大会で検討しあおう。
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- 明治図書