LD,ADHD&ASD 2016年10月号
知っておきたい!神経発達症群―発達障害―医療の基礎知識

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LD,ADHD&ASD 2016年10月号知っておきたい!神経発達症群―発達障害―医療の基礎知識

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2016年9月23日
対象:
小・中
仕様:
B5判 70頁
状態:
絶版
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目次

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特集 知っておきたい!神経発達症群―発達障害―医療の基礎知識
特集について
小野 次
提言
【医療で提供できること】医療の主な役割は診断と薬物療法
宮本 信也
【医療行政のしくみ】医療,福祉や教育,そして当事者ほかみんなでチームとなろう
日詰 正文
1 神経発達症群って?
各論<1>神経発達症群の医学的歴史
ICDとDSM診断基準を中心に神経発達症群をとらえる
田中 康雄
各論<2>神経発達症群のスペクトラムとしてのとらえ方
子どもの多様性を基底として,一人ひとりのニーズに配慮する教育的支援を
小野 尚香
2 神経発達症群の診断
各論<3>就学前
早期からの気づきと支援を目指して
清田 晃生
各論<4>小学校期
早く有効な対処に結びつけるために
若宮 英司
各論<5>思春期以降
特性の理解・対策が講じられずにきた子どもたち
石崎 朝世
3 神経発達症群への投薬と治療
各論<6>注意欠如・多動症(ADHD)
薬にできること,できないこと
山下 裕史朗
各論<7>自閉スペクトラム症(ASD)
服薬するメリットと副作用のリスクとを鑑みて
洲鎌 倫子
各論<8>ペアレント・トレーニング
ほめて,できる行動を増やそう
岩坂 英巳
4 学校現場での問題への対応
各論<9>神経発達症群の二次障害
どうとらえ,どう支援するか
齊藤 万比古
各論<10>神経発達症群に関する告知と障害受容
告知は理解と支援を進めるために
小野 次
各論<11>医療と各種専門領域の連携
巡回相談から考える教育医療の連携
岩永 竜一郎
各論<12>神経発達症群と間違いやすい疾患
一見共通した症状を示しても異なる疾患は数多くある
平林 伸一
各論<13>医療と学校との連携事例@
思春期の心の危機を乗り切るための援助
里見 恵子
各論<14>医療と学校との連携事例A
医療や相談機関とのつながりの中で自分の特性を知る中学生
石井 恵子
Essay
東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて
井上 惠嗣
学べる!楽しい!学びにくい子への学習支援ワーク (第7回)
英単語のワーク
村井 敏宏
発達障害の子どもに役立つ!ちょこっと支援の教材・教具 (第11回)
初めての量概念の学習を支援する
冨永 由紀子
【特別寄稿】「発達障害のある人の当事者研究」について
熊谷 晋一郎
親の会・JDDネットニュース (第59回)
一般社団法人学校心理士認定運営機構 日本学校心理士会
山口 豊一
実践の小箱/臨床学校現場から (第54回)
マイナスの気持ちを変える「味方言葉」の実践
橋 美恵子
Newsな視点 (第15回)
学習指導要領改訂に向けての動向
田中 裕一
〜特別支援教育について〜
保護者の悩みに寄り添う教育相談 (第11回)
将来,就職して自立していくには,どれくらい勉強ができれば大丈夫でしょうか。
両川 晃子
発達障害のある子への認知・行動的アプローチ (第3回)
「心の動きの理解」への支援,その3
長崎 勤
〜「カルピス・カフェ」を通した他者の意図理解・協同活動〜
一度は手にしたい本
『発達障害の子どもの視知覚認知問題への対処法』(リサ・A・カーツ著・川端秀仁監訳・泉 流星訳/『人は,なぜ約束の時間に遅れるのか〜素朴な疑問から考える「行動の原因」〜』(島宗 理著)
増本 利信
SENS for S.E.N.S (第6回)
S.E.N.S臨床日誌:多職種連携「チーム学校」
田中 容子
S.E.N.Sになって
真の支援をめざして
谷津 成子
学んだことを活かして子どもに笑顔を!
沖野 みどり
特別支援教育士資格認定協会からのお知らせ
編集後記
小野 次

特集について 知っておきたい! 神経発達症群―発達障害―医療の基礎知識

和歌山県発達障害者支援センター・顧問,一般社団法人日本LD学会・副理事長/小野 次


2013年,アメリカ精神医学会はおおよそ20年ぶりにDSM(精神疾患に関する診断・統計マニュアル)を改訂し,第5版を出版しました。そこで本特集では,DSM−5およびその日本語訳に準拠した名称を使用します。この特集のテーマである「知っておきたい!医療の基礎知識」はたくさんありますが,ここでは神経発達症群(Neurodevelopmental Disorders:NDD,発達障害と同義とする),特に自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD),注意欠如・多動症(Attention Deficit/Hyper activity Disorder:ADHD),限局性学習症(Specific Learning Disorder:SLD,学習障害と同義とする)に焦点を当てました。

今回この特集を企画するにあたり考えたことは,神経発達症群と一言でまとめても,それぞれ随分異なった特徴を有していたり,薬物を含む治療方法も全く異なっていたり,また対象年齢もかなり広くなるなど,本来は事典一冊にでも匹敵するような分量が必要であろうということでした。それを一人当たり,見開き2ページでお願いするということからもわかるように,かなり凝縮したエッセンスを書いていただくことになりました。そこで,さらに深く学びたいと思われている読者の皆様のために,参考文献を挙げていただくようにお願いしました。

神経発達症群に対して医療が提供できることは,診断・病態解明・告知・治療が中心になりますが,その周辺に位置する事柄としては,不登校を含む二次障害への対応・障害受容の支援・連携における医師の役割,さらに神経発達症群と誤診しやすい医学的疾患の鑑別などもあると考え,項目を立てています。

本特集で,医療が提供できることとできないことをお伝えできたらと思います。中核症状に有効な薬物が認められているのはADHDだけです。ということはASDやSLDでは必ずしも医療の診断ありきではなく,疑いがあれば支援を提供することが第一歩になってよいということです。もちろん,NDDすべてにあてはまることです。

神経発達症群の子どもたちは,成長して大人になった時,必ずといっていいほど地域で就労し,生活します。その時に,適切な支援の基礎になるのが,正しい理解です。そして,これは専門家だけが知っていればよいというものではありません。地域で,これらの子どもたちあるいは大人に接するすべての人に知っていてもらいたいものです。ここに書かれた専門的知識を学ぶ機会に恵まれた読者の皆様が,その橋渡しになっていただけることを心から期待しています。

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