- 著者インタビュー
- 特別支援教育
障がいのあるお子さんが「ワーク学習」を行う場合、既存の、幼児向け(あるいは小学校低学年向け)のワーク集を用いる場面が多く見られます。それらは、健常児の発達段階を基に作成されており、障がい児にとってはステップがやや粗いという面が見られます。本書では、そのような課題を解消するために、障がい児がつまずきやすい部分に焦点をあて、似ている課題を、少し違った形で何度も登場させ、また、興味が持ちやすいように視覚的手掛かりを多く用いています。すなわち、障がい児のためのワーク集となっています。
文字学習を行うためには、文字を「読む力」と「書く力」の基礎(土台)を身につける必要があります。「読む力」は、形をよく見て組み合わせる力(パズル、ブロックや積み木の見本合わせ)、記憶力(神経衰弱、音・曲あてクイズ)、音節分解など、また「書く力」は、視覚−運動統合能力(線なぞり・線結び、迷路、ぬり絵、模写)、聴覚−運動能力(絵描き歌)、手指の操作性(洗濯バサミ、はさみ、こままわし)などによって、育てられます。
ワークは、ただ先へ先へと進めていくのではなく、子どもの小さなつまずきを発見し、その部分に丁寧に対応していくための手立てとして活用していくことが可能です。うまくいかないのには、必ず何らかの理由があります。できない部分に直接アプローチするのではなく、また訓練的に繰り返すだけではなく、まずは子どものつまずきをよく知り、その周辺のさまざまな力にアプローチしていくことで、解決することはたくさんあるのです。
本書を皮切りに、今後は、2巻「かずへの準備・チャレンジ」、3巻「国語のつまずき解消」、4巻「算数のつまずき解消」、5巻「ソーシャルスキル」と続いていきます。このように、段階的にワークに取り組む力を身につけ、その後の国語・算数学習や対人関係にかかわる知識・技能を身につけられるよう、全書に関連性を持たせています。
私たちはややもすると、子どもができないことにイライラしたり、「もうちょっと」と欲張ったりしてしまいます。ワークは楽しく、発達に合った内容を、適量行ってこそ、子どもたちの力を伸ばしていきます。本書はどのページから使用していただいても構いません。子どもたちの興味や発達段階を十分に考慮しながら、是非、成功体験を積み重ねるような形で活用していただければと思っています。
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