- 著者インタビュー
- 生活・生徒・進路指導
生徒が問題行動を起こすと、学級担任である僕も確かにへこみます。しかし、どう対応すれば、この問題行動がプラスに働くのかを考える、ここに教師の成長があります。僕はこれを意識して行っています。多くの問題行動は、当事者間で処理されることが多いのですが、学級の中で起こっている事件はオープンにすることが多いです。そのことで、生徒や保護者もなにがしかを考え始めるからです。そこにクラスと生徒と、そして保護者との関係性ができ、生徒と生徒との関係を作り、お互いが成長できるチャンスがあると考えています。
若い先生であれば、まず問題行動に対してどう対応するか自分の考えを持つことです。自分の考えを持つことが成長の秘訣です。その上で学年主任や生徒指導主事の先生に「こうしようと思いますが、いかがですか?」と相談をしましょう。一人で解決しようとしないことです。また、気になる生徒、問題を抱えた生徒には教師の注意も増えます。しかし、追いかけすぎないことも大事です。生徒は追えば追うほど逃げてゆくのです。そっと見守ることも大事です。このバランスは経験が必要だと思います。
本書で示した対応は一つの例にすぎません。生徒にどう対応するか自分の考えを持ち、複数の同僚に相談し、対応の幅を広げてください。生徒は一人一人違います。全て同じ対応で解決できるのであれば、教師ほど楽な仕事はありません。人間を育てる仕事がそんなに楽なはずがないのです。大事なことは、教師は、自分の見栄でなく、目の前の生徒が抱えている問題を理解し、その解決を一緒に考えられる大人であることです。一緒に考えてくれる大人の存在が、生徒の心の安心を生みます。
「信頼関係」だと考えます。
この「信頼関係」を作るために、教師はたくさん時間をかけ、たくさん行動するのです。
若いうちはたくさん失敗することです。
問題を抱えた生徒、問題を抱えた学級との出会いは、自分の成長のために神様が与えてくれた試練だと思うことです。どんな問題も自分が今よりも成長するための神様からのプレゼントです。
それから、自分がよく思われようと思わないことです。そのことが元で、自分の見栄で生徒指導をするようになると生徒はすぐに見抜きます。「この先生は、本気で自分のことを心配してくれている」と生徒が感じたら、そこからが本当のスタートです。
問題の多い学級の担任はダメな担任ではありません。伸びるチャンスを与えられた教師です。