- 著者インタビュー
- 外国語・英語
上記の前著で紹介した毎時間行う5分間の「すらすら英会話」という“帯活動”は、生徒に英会話力を確実に身に付けさせます。これは明らかです。しかし、ある時、Where did you go last Sunday? と質問すると、I went to.... までは返ってきたのですが、肝心の行った先の場所が英語で言えませんでした。「遊園地」って、英語で何というか知らなかったのです。すると教室のどこからか、「Amusement Parkだろ!」と声がしました。その時、はっとしました。この場合、コミュニケーションが成立するのはどちらでしょうか…。主語・動詞で言えなくても、Amusement Park!と言えれば、コミュニケーションは成立です。となると大事なのはやはり「単語なのではないか…」と気づきました。そこで中学3年間で2000語。「書けなくてもいいから言える単語を増やそう」と思って取り組みを始めたのが、この「すらすら英単語」です。
やはり授業の最初です。教師が「机」というと生徒が「desk」と英語で言います。プリントを見ながらでもいいです。その後、ペアにして、片方が日本語、もう片方が英語を言う活動をさせます。それをペアを変え、何度も行います。部活動の基礎練習のようなものです。その流れで「次は、すらすら英会話…」と言って、会話練習にもっていきます。これは英語のいい基礎トレーニングになります。
まず「学んだ感」があります。1枚のシートに20個の単語が書いてあるわけですが、意外と生徒は早く覚えてしまいます。つまり、「今日、こんな単語を覚えた!」という達成感があります。次に、同じカテゴリーで単語が並んでいますので、単語を忘れた時には、この「すらすら英単語」が、そのまま「和英辞典」になり、そのページをめくっているのです。ここが便利なところでもあります。
目次にある通り、最初は中学1年生を想定していますので、「身の回りのもの」や「動物」、「果物」や「野菜」、「Body Parts」や「色や形」…「スポーツ」、「教科名」など、中学1年生の言語活動で使えそうな単語を集めています。さらに動詞でも、「現在進行形でよく使われる動詞」「過去形でよく使われる動詞」「現在完了の経験でよく使われる動詞」など、言語活動をさせたい時に必要になってくる「単語」を集め、言語活動で使用できるような工夫がされています。それらが1枚のシートになっているので、授業に直結していると言えるでしょう。取り上げた英単語・英熟語は本書のサポート情報でも見ることができます。
ほんの小さなところから研究を進めるといいでしょう。研究が進むと、次の課題が自然と見えてくるものです。「すらすら英会話」はスピーチ活動を中心にやっていた時に、「あれ? あんなに上手にスピーチする生徒でも英会話はできないじゃないか…!」と思って、会話力を高めるために始めました。その「すらすら英会話」をやっていくと、冒頭で述べたように、「あれ? 文型は理解しているが、単語を知らなきゃ、通じないよな…」と思うようになり、「すらすら英単語」の発想に至りました。日々、生徒に鍛えられています。
ということで、ぜひ! 1つのことを、とことん追求し、実践を深めていってください。すると、また違った課題が目の前にでてくることでしょう。それが教師の成長にもなります。共に、児童・生徒の笑顔を見るために頑張りましょう!