- 著者インタビュー
- 特別支援教育
ATというのは、日本語では「支援技術」と訳されています。障害のある人の困難さを解消するためのさまざまな技術的な支援方策です。車いすや杖などもありますが、近年は視覚障害のある人のための音声読み上げや手の操作が難しい人のためのスイッチ類などICT技術が広く利用されています。
文部科学省が出した「教育の情報化に関する手引」でも紹介されています。どんな人でも生活上の困難が出てくれば利用する簡単な技術も含まれていますので、子どもたちの生活を豊かにするためにぜひ積極的に利用してください。
ATというと、特別なものが用意されていなければできないと思われてしまいますが、今回の特集では紙の「学習記録カード」や黒板に貼る「見通しカード」なども紹介してもらいました。発達障害のある子どもたちの中にはこれからの学習がどのように展開されるか分からずに困っていたり、記憶の保持が難しくて分からなくなるなどの困難をかかえている場合があります。そういったことを補うためにICT機器はもちろん、教室などの学習環境を整えることは大きな助けになりますし、クラスの他の生徒にとっても良い影響があると考えます。
文部科学省は「学びのイノベーション事業」で学習者用のデジタル教科書を試作し、実践的な研究を行っています。また、民間団体のDiTT(デジタル教科書教材協議会)、教科書団体等で作ったCoNETSなど、子どもたちが使うデジタル教科書について研究が進められています。また、私たちの国立特別支援教育総合研究所では障害のある児童生徒が使いやすくなるようなデジタル教科書のあり方について研究を始めています。
電子書籍などがよりいっそう普及すると思われますので、障害のある子どもたちにも使いやすいデジタル教科書のあり方について検討することが重要になっていきます。
今注目しているのはなんといってもタブレット端末です。
これは障害のある人のための特別な機器ではありません。ですが、先生方がとても上手に利用してAT機器として活用しています。これまではATというと特別な機能があって「難しそうだ」と敬遠していた先生方もスマートフォンをもつ人も多くなったので抵抗がなくなってきています。今後は、このタブレット端末にさまざまな機能が付加され視線やジェスチャーだけで簡単に操作できたり、画面上に点字が表示されて視覚障害のある生徒も触って分かるようになるのではと期待しています。
ATを活用するのは特別なことではありません。大切なのは「子どもたちを支援しよう」と考えた結果として出てくることだと思っています。機器ありきではなく、「実現したいことを」を最初に描き、子どもたちと一緒に考えてもらえればと思います。近年は「障害者権利条約」批准に向けて世の中が動いています。AT活用はその重要な役割を担うことになりますし、皆さんの周りには多くの仲間がいるはずです。ぜひ、ATの活用を通じて先生方もコミュニケーションを図ってもらえればと思います。
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