本書では、「感動のドラマ」といった非常に情緒的なテーマを取り上げました。読者の方々のクラスで「感動的なできごと」と言うと、どんなことが思い出されるでしょうか。合唱をみんなでがんばったこと、運動会ですばらしい表現をつくりあげたこと……。
どのクラスにも、「感動」場面はあるはずです。大きな行事だけではありません。日常の学校生活の中にあるはずです。その日常的な場面のいくつかを第1章で示しました。「私のクラスにもこんなドラマがあった」ということを思い出していただけたらOKです。第2章以降で、その皆さんのドラマは偶然性だけでなく、「このような布石があったんだ」とか「子ども達のこういう力が具現化されたんだ」ということに気がつくと思います。
「心を動かされる」子どもたちの姿には、必ず子どもたちの「自立場面」があります。それは協働的な活動であったり、課題を克服して乗り越えた活動であったりします。そのときに、子どもたちにどのような「志」「考え方」をもたせるかが大切となります。形ばかりの自主的な活動や話合い活動を取り入れても、効果はあがりません。その「志」「考え方」をもとに、自立や学びに向かう活動にするために、6つのキーワードを提示しました。
この6つのキーワードは、感動場面をつくり、子ども達が自立に向かうポイントです。第3章に示す活動のすべてが、このキーワードのどれかに基づいています。方法だけを取り出して実践すると、意図と反対の結果を生むことがあります。この活動は、このキーワードに関わっているということを意識しながら読んでいただけるとわかりやすいと思います。
あえてストラテジー(戦略)という言葉を使わせていただきました。「感動のドラマ」は意図的につくり出せるものではありませんが、そういう状況が生まれるための土壌づくりはできます。そのためにも、協働的な学級風土、それを支える貢献感や有能感、友達への信頼感を育てることが大切です。取り上げた取り組みは、長いスパンのものもあれば、すぐにでもできるものもあります。大まかに時系列で並べていますが、どこからでも取り組むことができます。
「感動のドラマ」をつくり出すことが目的ではありません。ただ、こういう「感動場面」を経験している子ども達は、心が豊かであったり、生き方がしなやかであったり、自立していたりします。そのベースには、「人と人がつながるすばらしさ」や「人の心を動かす経験」があります。ドラマの向こうにある子ども達の可能性をのばす教師の挑戦をぜひご覧ください。
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- 名無しさん
- 2017/3/11 21:37:57
友達と協力することにあまり価値を見出してこなかった子どもたちを担任し、まずはみんなで学級目標の掲示をつくるところからスタートしました。全員ですることで、1年を通して目標を意識し続けることができました。特別活動のすごさを目の当たりにしました。