本書では、第1章に生徒を理科好きにするための授業づくりのポイントを10個あげました。それを押さえたうえで、第2章のネタをうまく活用して感動の授業をつくり上げていくという構成です。第2章では、各学年のネタ全100を説明ネタ、疑問ネタ、教具ネタ、実験ネタ、展示ネタなどに分け、理科好きな生徒を育てたり、生徒自ら考える授業をしたりするために必要なネタが気軽に取り入れられるようにまとめました。
最近は、インターネットでも理科ネタを収集することは可能です。ですが、本当に役立つ情報は、書籍や論文にあると思っています。ですから、本を買って学ぶことではないかと思います。そして、本以上に大切なのは、人と会うことです。サークルなどで自主的な勉強会を開いている教師もいます。そんな方と会ったりして、直接話を聞くことが、ネタを増やす一番のコツだと思います。地元の大学主催の会に出席するのもおすすめです。
例えば、本書の表紙でも紹介している声でロウソクの火を消す実験は、テレビなどでも紹介されています。知っているという方も多いと思います。でも、実際にやってみると、なかなかうまくいかないのです。教師自身が試行錯誤して、実感する。そして、それを授業のどの場面でどう使うのが目の前の生徒にとって効果的かを考える。演示をするなら、どのような説明をするのか具体的にセリフを考える。そして、授業で取り入れてみて、改善案を記録しておく。そんな使い方が大切だと思います。
生徒の理科の学力を向上させるには、まず、生徒を理科好きにすることが大切だと私は思います。そのためには、私たち教師がまず、理科が好きであることです。理科が本当に好きだという教師のオーラは、言葉にして出さなくても、生徒たちには自然と伝染していきます。生徒に届くのは、教師のワクワク感だと思うのです。ともに学び続け、生徒とともに成長する教師でいられるようがんばりましょう。
この「中学校理科 授業のネタ100」には、これまで実験や観察がなかなかできなかった分野の具体的な方法が書かれており、大いに参考になりました。もちろん授業ネタの紹介にとどまらず、何を、どのように学ぶかが明確に書かれているだけに、明日からの理科授業に早速取り入れたいと思いました。