- きょういくじん会議
7日の毎日新聞では、学校の視力検査では分からない、近見視力不良の子どもたちが潜在していることを報じている。
近見視力とはいったいどのようなものなのだろうか。
近見視力とは、近くを見るときの視力をいい、目から30cmはなれた近距離視力表を用いてはかった視力のこと。一方、遠見視力とは、5mの距離にある視力表ではかった視力をいう。
通常、学校での視力検査は、遠見視力をはかっている。これは、「黒板を支障なく見ることができるか」を調べているのである。
産経新聞には、近見視力不良だと、目が疲れ、肩がこりやすいなどの症状があり、集中力が続かないなどの弊害が報じられている。
また、近見視力不良だった子どもによる漢字の書き取りを調べてみると、画数が1本抜けていたり、つきぬけないはずのところがつきぬけていたりと間違いが目立ち、能力ではなく視力の問題だと考える見方もあるようだ。
近見視力は、「教科書やノート、コンピュータ画面の文字を判読するのに必要な視力」であり、学校では欠かせないものだ。桃山学院大学高橋ひとみ教授の研究(PDF)には「遠くが見えるなら近くは見えると思うのは間違い」とある。
「遠くが見えても近くが見えない」近見視力不良者は、現行の遠見視力検査では発見されない。そのため、遠見視力検査と近見視力の両方の検査を実施する必要性を述べている。
また、「近見視力不良の原因は、調節障害や遠視・老視によることが多く、遠視系の近見視力不良の場合は、視中枢の発達が完了するまでに発見して対処しなければ弱視になることもあり、早期発見とそれに続く早期管理が必要」とのこと。
子どもが痛みを「痛い!」と発信するように、自分で視力不良を感じ、「見えにくい!」と言うことはほとんどないだろう。もちろん、周囲の大人からも分からない。
高橋教授が提案しているように、学校で検査が導入されればよいのだが、すぐには難しそうだ。眼科で専門的な検査を受けることはできるので、当面は個人の判断で検査をするしかなさそうだ。早期発見が必要となると、検査は就学前の方がより安心かもしれない。
- 拡大教科書推進普及会議―ボランティア頼みからの脱却へ(2008/5/23)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/kaigi/?id=20080247