きょういくじん会議
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企業の責任明確化―育休制度をより効果あるものに
kyoikujin
2009/6/21 掲載
働くママの仕事と育児―私は両立!保育園探し&育休明けの働き方から再就職まで (たまひよ新・基本シリーズ+α)

 16日の毎日新聞の記事によると、ゲームソフト会社「コナミ」の子会社で働く女性が、育児休暇(育休)明けに、部署の異動や給与の減額といった待遇を受けたのは差別だとして、会社を提訴したとのこと。実際にどういう状況なのかはこれから明らかになるのでしょうが、育休に関係するトラブルは、やはり中々なくならないようです。

法律の改正

 そうした現状を受けてか、同じく16日の毎日新聞の記事によると、育児・介護休業法の改正案が同日の衆議院で全会一致で可決されたとのこと。記事によると今回の改正案は、

3歳未満の子のいる従業員に対する短時間勤務、残業免除を企業に義務づけることや、厚生労働相の勧告に従わない企業名の公表

といったことが柱になっていて、雇用側の義務を強める内容と言えそうです。現在施行されている法律も05年に改正されたものですが、今回の改正案を見ると、作ったはいいがなかなか守られない法律により実効性を持たせよう、という意図も読み取れそうです。

育休をめぐる実情

 ちなみに現行の育児・介護休業法は、厚生労働省神奈川労働局の「改正育児・介護休業法」を参考に見てみると、05年以前と比べ

・子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が1歳6ヶ月に達するまで育児休業ができる
・小学校就学前の子を養育する労働者は、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得できる

などの点で改善が行われましたが、08年5月9日の記事でもご紹介したように、日本は特に北欧などの先進諸国に比べて育休制度などが不十分で、世界的に見てもまだまだ子どもを育てるのに十分な環境、とは言えないのが現状のようです。また、5月25日の京都新聞の記事では、社団法人「京都勤労者学園」が京都で働く男女にアンケートを行い、そのうちの半数ほどが育休は取りづらい、取らないという答えだったと伝えていますが、京都に限ったことではなく、全国で調べても似たような結果になるのでは?

 制度のさらなる充実が必要なのは異論のないところでしょうが、それを実効性のあるものにできるのか。雇用側への罰則を厳格化するだけでなく、子どもを安心して育てるためには、育休などの制度が必要かつ利用して当然、という考えが社会に浸透することが重要、と言えるかもしれません。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2009/6/22 17:57:49
    労基署がまともに働かないのが悪いです。失うものが大きい大企業はそれなりにコンプライアンスがありますが、社員10人以下の中小企業なんて育休どころか、社会保険や有給、残業代など労基法違反のオンパレードでブラックな会社が多いです。今回は社会的に名の知れた企業なのでニュースバリューがあるのでしょうが、中小企業の例を地道に報道しないマスコミも悪いです。
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