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瀬戸内国際芸術祭2010、開幕!
kyoikujin
2010/7/21 掲載
美術手帖6月号増刊 瀬戸内国際芸術祭2010公式ガイドブック

 瀬戸内海の島々を舞台とした国際的なアートの祭典が、今月19日よりとうとう開幕となりました。今回は今年2010年初開催となる「瀬戸内国際芸術祭2010」についてご紹介したいと思います。

◎テーマは「海の復権」

 みなさんは、瀬戸内と聞くとどんなイメージが浮かぶでしょうか。穏やかな海面に浮かぶ島々、その段々畑、古い港町の家並みなどを思い出される方が多いことと思います。「瀬戸内」とは、本州・四国・九州地方に囲まれた瀬戸内海とその沿岸部を指した言葉です。その独特の美しい景観は『伊勢物語』や『土佐日記』などにも取り上げられ、古くから景勝地として知られてきました。しかし近年では、人口減少や高齢化が進み、島固有の文化を保つのが難しくなりつつあったといいます。
 そのような状況の中で、昔のように船や文化が行き交う瀬戸内を再生しようという試みのもと、瀬戸内国際芸術祭は企画されました。コンセプトとして挙げられたのは「海の復権」という言葉。公式サイトでは、このコンセプトについて以下のように説明しています。

瀬戸内国際芸術祭は、「民俗、芸能、祭り、風土記という通時性」と「現代美術、建築、演劇という共時性」を交錯させ、瀬戸内海の魅力を世界に発信するプログラムです。

◎舞台は瀬戸内の七つの島

 芸術祭の舞台は、直島・豊島・女木島・男木島・小豆島・大島・犬島の七つの島を中心としています。特に直島は、1992年に「直島文化村構想」というプロジェクトのもと、美術館や「家プロジェクト」として島内のさまざまな建物を使ったアートが作られ、近年では「現代美術の聖地」として親しまれてきました。また、小豆島も映画「二十四の瞳」の撮影地としても知られており、いずれの島も、豊かな自然と歴史を持つ、芸術に相応しい地であると言えるでしょう。

◎芸術祭の作品って?

 瀬戸内芸術祭では、18の国と地域から75組の芸術家がそれぞれの作品を展示します。18日の前夜祭では、京都造形芸術大学の学生チームが製作した光のオブジェが登場し、次の日の開会式では、日差しの下で大量のシャボン玉を吹き上げるという大巻伸嗣氏の作品が発表されました。また、高松港と女木島を結ぶ定期便には、上空から見るとまるで海のチャックを開いているかのような、ファスナー型の船が就航しているそうです。他にも小豆島では、竹で組まれた直径18メートル・高さ15メートルもの宮殿が登場し、人々の目を驚かせているようです。
 展示の他にも、船上でのシンポジウムなども多数予定されているそうですので、現代芸術に興味のある方にとっては、まさに垂涎のイベントと言えるでしょう。

 瀬戸内芸術祭は今月19日から10月31日まで開催されます。展示物をすべて見学するには、とても二日三日では足りないそうで、五日か一週間ほどあると良いとのこと。大人も子どもも楽しめるこのイベントに、ぜひ旅行がてら、参加してみてはいかがでしょうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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