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![文系のための数学教室 (講談社現代新書)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/P/4061497596.01.MZZZZZZZ.jpg)
10月27日の読売新聞の記事によると、大阪府立大学は、2012年度から文系の全学生に、教養科目で数学の単位取得を義務付けることにしたそうです。文系学部では、数学を選択制とする大学はあるものの、全学生に対して必修科目としたのは、初めての取り組みのようです。
現在の数学教育
今の日本では、小学校では6年間算数を、中学校では3年間数学を学びます。しかし、高校でも全員が3年間数学を学ぶ、という学校はそう多くはないと思います。実際、私大の文系志望ならば、大学入試に数学が必ずしも必要というわけではありませんので、効果的に入試対策をする上で、数学の選択制はしかたないのかもしれません。そうなると、数学から離れてしまった、文系大学志望の生徒さんは、数学必修の大阪府大を選択肢に入れてくれるのかが不安でもあります。
このようなリスクがあるのにも関わらず、数学を必修にすることにした理由の一つとして、記事では「論理的思考力の低下」が挙げられています。高校そして大学4年間にわたって数学に触れ、論理的な思考を身につけてから社会に出てほしい、という大学側の想いが込められているのです。
実際にはどんな数学をやるのか
一番気になるのは、実際の講義でどんな数学をやるのかということです。記事によると、微分積分や線形代数をやるとのこと。詳しい内容は定かではありませんが、計算をしたり、証明をしたりするのではないかと、私は思っています。「証明」と聞いて、なんだか難しそうでやりたくないな、と感じる人も少なくないかもしれませんが、この証明こそが、数学の醍醐味であり、「論理的思考力」を育てるのに最適のものなのです。つまり、順序立てて説明する、という社会で必要とされる力が身につきやすいのです。
数学の大切さ
小学校や中学校でも、新学習指導要領では「思考力・表現力」を強化することになります。特に小学校では、考えを自分の言葉で記述し説明することが求められるのだと思いますが、まさにこれは「証明」への第一歩であり、小学校から数学に力を入れていくことがよくわかります。
このようなことを考えると、今回の大阪府大の取り組みはとても画期的なことだと思われます。今後は数学に力を入れる大学が増えていくかもしれませんね。