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評価規準作成の参考資料公表―国立教育政策研究所
kyoikujin
2010/11/22 掲載

 3月の「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」、5月の「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」を受け、国立教育政策研究所教育課程研究センターでは15日、「評価規準作成のための参考資料(小学校)」(PDF)をHP上で公開した。

 「参考資料」はこれまでの経緯をふまえ、学習評価に関わる以下の3つの基本的な考え方を基に示されている。

  • 目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価や評定の着実な実施
  • 学力の重要な要素を示した新学習指導要領等の趣旨の反映
  • 学校や設置者の創意工夫を生かす現場主義を重視した学習評価の推進

 基本的には現行の学習評価を踏襲しつつ、学力の重要な要素とされた「基礎的・基本的な知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の確実な育成が図られるよう、各学校での創意工夫を生かすという方針である。

 なかでも、「思考力・判断力・表現力等」に関わって、学習評価の観点に「思考・判断・表現」という観点が示されたことが注目されている。従来の「思考・判断」を継承するこの観点では、「思考・判断」した過程や結果を、言語活動等を通じていかに「表現」しているか、を一体的に見るという。

 だが、これまで現場の実感として、「思考・判断」の評価そのものが難しいといわれてきた。それを、言語活動等を通じて評価するためにどのような課題が適切なのか。

 「参考資料」では各教科等別に、「学年目標」「評価の観点の趣旨」「評価規準に盛り込むべき事項」「評価規準の設定例」が示された。
 例えば、「評価規準の設定例」として低学年では以下のようなものが挙げられている。

  • 友達が書いた物語を読んで、一番おもしろかったところを伝えている(国語・Bオ)
  • ものの位置を言葉で表す方法を考えている(算数・C)

 「指導と評価の一体化」が言われて久しいが、今回示された「評価規準の設定例」も評価だけでなく授業そのものの改善に役立つ部分が大きいだろう。「思考力・判断力・表現力」の評価にあたっては、パフォーマンス評価の導入も提唱され始めているが、今回の「参考資料」をもとに、学校や自治体単位で効果的な実践例を着実に積み重ねていくことが有効なのではないだろうか。

 なお、中学校向けの「参考資料」も近日公開される予定である。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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