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とかく削除内容の復活と時間増が話題となりがちな小学校理科。しかし、それ以外にも改訂のポイントはいくつもある。ここでは、「目標」に「実感を伴う」の文言が追加されたこと、領域の統合、言語活動の充実について、今回示された解説の「理科編(ZIP)」でどのように述べられているかをみてみよう。
「実感を伴う理解」について
目標そのものはほとんど変更ないが、「自然の事物・現象についての理解」に「実感を伴う」という文言が追加された。解説では、この「実感を伴う理解」について「具体的な体験を通して形づくられる理解」「主体的な問題解決を通して得られる理解」「実際の自然や生活との関係への認識を含む理解」と3つの側面があると説明している。あらかじめ児童がもっている素朴なイメージや概念が、問題解決の過程を経ることで意味づけ・関係づけられることが重要だということだろう。
一方、児童がもっている素朴なイメージや概念に依拠しすぎることに対する批判もある。特に、小学生の4割が「天動説」を信じているという国立天文台の調査は話題を呼んだ。素朴なイメージだけでは、小学生が天動説を信じても致し方ない部分もある(なお、地球の自転や公転は中学校での学習事項のため、指導要領の問題ではないという文部科学省の反論もあった)。
日常的な事物・現象に対する理解と、科学的知見を有機的に関連づけ、実感の伴ったより上位の科学的概念を形成していくことが大切となるだろう。
領域の統合について
現行指導要領では、「A 生物とその環境」「B 物質・エネルギー」「C 地球と宇宙」の3区分であったのが、新指導要領では「A 物質・エネルギー」「B 生命・地球」の2領域に統合される。現行のBが新版のAに、現行のA・Cが新版の「C」に引き継がれる形だ。中学校の1・2分野とも一貫性をもたせ、理科の内容の構造化をはかろうという狙いがあるようだ。
解説では、「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」といった科学の基本的な見方や概念を柱として、内容の系統性が図られていることに留意する必要があると説明している。
言語活動の充実
最後に、新指導要領の全体的な目玉ともいえる「言語活動の充実」についてみてみよう。小学校理科においては、「観察、実験において結果を表やグラフに整理し、予想や仮説と関係付けながら考察を言語化し、表現することを一層重視する必要がある」と解説されている。自らの仮説に照らし合わせながら、観察・実験結果から得られた考察を言語化する活動が、より大切となるといえるだろう。
- 小学校学習指導要領解説(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syokaisetsu/index.htm