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新聞各紙の報道によると、今秋の第二次報告にむけ教育再生懇談会が国語、英語、理科教科書のページ倍増などの素案をまとめた。現行の指導要領に合わせて教科書が改訂されて以来、その薄さについては批判も多かった。たしかに、教科書だけを手に取ると心もとなさを感じる薄さである。
たとえば、手元にある中学国語教科書1年(光村図書)を見てみると、現在の指導要領実施前は315ページ(A6判1色刷り)であったが、現在生徒が使用しているものは269ページ(B5判カラー刷り)である。判型が大きくなったとはいえ、取り上げられている文章も少なくなっているので内容的にも薄くなっていることは否定できないだろう。
しかし、現在の倍というのは現指導要領前の教科書をはるかにしのぐページ数で、かなり根本的な方向転換をせまるものである。実際、提言では、自学自習を前提とした教科書づくりを求めているようだ。現在の教科書では、特に小学校でその傾向が強いが、授業の中で使用されることが前提となっているものが多く、授業やノートでのまとめがそれを補完するものとなっている。単純に教科書の厚さだけでは児童・生徒の学習の実態をはかれないことはたしかだろう。
また、カラーになったことで教科書会社はコスト的にかなり苦しいとも聞く。そのあたりにはまだ触れていないようだが、ページ倍増を実現するためには部分的に1色刷りに戻すなどの方策が必要かもしれない。さらに、日本の場合、教科書以外にも副教材を使用しているケースが多く、それらが自学自習部分を担っている側面もある。今秋の第二次報告にもりこまれるという教科書ページ倍増計画、現場の状況も見極めた上での提言となることを期待したい。