「単元を貫く言語活動」ここが知りたいQ&A
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「単元を貫く言語活動」Q&A(21)
子どもたちが意欲的に取り組む発問の工夫(文学的文章の場合)
大阪市立丸山小学校教頭山下 敦子
2015/12/17 掲載

物語を指導していると「○○のときの主人公の気持ちを考えよう」など、どうしても気持ちを問うことが多くなり、子どもたちが「またか」「つまらない」等の反応をしたり、意見の交流がうまくいかなかったりします。
 どのような発問をすれば、子どもが意欲的に考えたり表現したりするようになるのでしょうか。

「○○のときの気持ち」を考えても、「悲しかった」「うれしかった」など簡単な言葉だけであったり、深く考えて表現したりということが難しいものです。ストレートに気持ち問うよりも、「なぜ、そのような行動をしたのか?」と、行動の意味を問うような発問が有効なときがあります。たとえば、「撃たれたときのごんの気持ちは?」よりも「なぜ、ごんはうなずいたのでしょう?」と問う方が、理由や根拠を考えたり探したりしながら読むことができます。子どもの探究心をくすぐるような発問を考えるもの一つのコツですね。

なるほど…。単元を貫く言語活動では、全文を意識して読むことも大切といわれていますが、なかなかうまくできません。どのような発問がいいのでしょう。

「○○のときの気持ちは?」では、その場面だけの読み取りになってしまいます。全文を意識するダイナミックな発問を考えてみましょう。たとえば、「大造じいさんとガンの魅力を伝える本の帯をつくるために、一番強く心に残ったところを紹介しよう」という言語活動では、まず全文を読むことが求められます。そして、なぜその部分が心に残ったのかとい理由や根拠を示す必要があります。「自分はこのように考えた」ということが明確に表現できなくてはいけません。また「どのような人にこの本を紹介したいですか」では、物語のテーマを中心に考えたり、物語が自分に語りかけてきたりするものをとらえ、「〜だからこんな人に紹介したい」ということにたどり着きます。

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言語活動を通して指導することが大切ということですね。

その通りです。「かさこじぞう」で、「かさをかぶせてもらったじぞうさまの気持ちは?」と問うても、「うれしかった」としか出てきませんし、浅い読みになってしまいます。「『かさこじぞう』を気持ちをこめて音読をしよう」という言語活動を設定します。「六人のじぞうさ(中略)ばさまの うちは どこだ」をどのように音読したらよいのか、グループで話し合いをすれば、より読みが深まるでしょう。
 また、「かさをくれたじさまのうちを探すのはわかる。でも、なぜ、ばさまのうちをさがしているの? じさまだけでいいじゃない」という発問をかけることで、子どもたちは全文を意識して、ばさまがしたことやばさまの人柄を読み取っていきます。そして、それを声に表現する活動で深めていくのです。発問と言語活動がうまく組み合わさることができれば、国語の授業は「楽しく」「分かりやすく」「意欲的に」なると思います。

ここをチェック!授業改善のためのポイント

学習したことを効果的に生かすために、次のポイントに留意しましょう。

  1. ストレートに気持ちを問うていませんか?
  2. 全文を意識するようなダイナミックな発問をしていますか?
  3. 言語活動を通して考えたり表現したりするようにしていますか?
山下敦子やました あつこAtsuko Yamashita

 大阪府大阪市立丸山小学校教頭。『国語教育』2016年1月号「特集 主体的・協働的に学ぶ力を育てるグループ学習」などへの記事投稿がある。

(構成:木山)

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