社会科や総合的な学習の時間では、調べ学習を取り入れることが多くなりました。でも、調べ学習ではなかなか資料が読めない子供がいます。国語科では、説明文の指導と関係が深いと思うのですが、指導をどう工夫したらよいでしょう。
国語科で身に付けた読む能力が、各教科等での調べ学習にも生きるものとなることは、とても大切なことですね。まず、調べ学習に必要な読む能力を挙げてみましょう。例えば、次のようなことが必要になるのではないでしょうか。
- 何を調べたいのかをはっきりさせること。
- 調べるために必要な文献等を見付けること。
- 目次や索引を活用して、必要な情報がどのページに掲載されているのかを特定すること。
- 見出しやリード文などに着目して、どの文章や囲み記事などを読めばよいのか見当を付けること。
- 調べたい事柄に関わる内容を理解して、分かったことと分からないこととをはっきりさせること。
- 調べた結果として報告したり説明したりしたい内容を引用したり要約したりすること。
- 調べたことについて感じたことや考えたことをはっきりさせること。
調べ学習を進めるためには、様々な読みの能力を総動員する必要があることが分かりますね。
一度に全部指導するのは難しそうです!! 何から指導すればいいのでしょうか。
もちろん、一つの単元で全てを指導するわけではありません。実際には次のようなことが重要になります。
- 年間指導計画を見通して、どの単元でどのような指導を行うかをはっきりさせる。
- 学年の発達の段階に応じて、各学年で系統的に指導する。
- 社会科や特別活動、総合的な学習の時間等との連携を考慮する。
当面、次の説明文単元でどこに重点を置いて指導するかを決めてみましょう。
分かりました! まず何を調べたいのかをはっきりさせて調べられるようにしてみます! でも、説明文を読む学習では、どのように指導すればいいのですか。
説明文では、何について、どのように説明されているかを読むことが大切にされてきました。もちろんこのような読みが重要であることには変わりはありません。しかし、あるテーマについて限られた分量で全てを詳細に説明することはとても難しいでしょう。ですから、あることについては詳しく説明されていても、他のことについては説明が省略されていることも少なくありません。
そこで文章を読んで、「何が分かったか」だけではなく、「まだ分からないことは何か」「もっと知りたいことは何か」をはっきりさせてみましょう。
また、手にした文献に必ず求める情報が掲載されているとは限りません。調べたい事柄に関する情報が見付からない場合は、
- 他の図鑑や事典に当たってみる。
- 友達や先生に聞く。
- 調べる言葉を別の言葉に代えて調べてみる。
といった手立てをとれるようにしてみましょう。
情報化社会を生きる子供たちにとって、調べ学習にも生きる読む能力を育成することはとても重要なことです。早速チャレンジしてみましょう!
ここをチェック!授業改善のためのポイント
単元を貫く言語活動を位置付けた授業づくりに向けて、調べ学習にも生きる読む能力を育てるには、次のポイントに留意しましょう。
- 調べ学習に必要な読む能力を明らかにし、単元の指導のねらいを重点化して指導していますか。
- 教材文の内容を読むことにとどまらず、図鑑や事典を活用できるようにする指導の手立てを工夫していますか。
- 調べたい事柄に関する情報が見付からない場合に、どんな次の一手を打つかを子供たちが考えられるよう指導を工夫していますか。
水戸部先生のご指導はいつも元気が出ます。どうすれば良いのか、工夫する道筋が見えるからです。それでいて教師の実践の自由度をちゃんと確保してくださる配慮が私には感じられます。
1回1回の国語の説明文の授業が、どれだけ子ども達の血や肉になっているかを考えながら、今日も単元構想を自分の頭を使って練るしかないっ!!