1 教職員全員で生徒を育てる
私が学級担任になったばかりのころ、生徒とうまく距離がとれず、学級経営に苦しんでいたときがあった。生徒との関係がしっくりいっていないと感じる毎日であった。
そんなとき、学年主任が私の学級の生徒たちに担任の思いを伝えてくれた。力量がある主任だったので、生徒の心にしみわたるよい話をしていただいたに違いない。それを契機に、少しずつ生徒との距離は縮まるようになり、苦しかった日々を笑って話せるようになった。このときに痛感した。教職員全員で生徒を育てるとはこういうことだと。
それ以後、私は他学級やその学級の生徒のよさをとらえて、直接ほめることを心がけるようになった。正直なところ、それまで学級経営は担任だけの仕事だと思っていた。だから、自分の学級ばかりを高めることに精力を使っていた。しかし、「ギブ・アンド・テイク」「持ちつ持たれつ」だ。不思議なことに、他学級の生徒をほめると、他の教師から私の学級や生徒のよさについての情報が入ってくるようになった。
2 情報交換の場を設定する
我が校の授業研究後の協議会は、二部制にし、一部は「生徒情報交換会」と称している。そこでは次のような発言がされている。
「△さんは、進んで隣の子とかかわろうとしていました。やはりこの教科に自信があるということだと思います」
「〇君は、私の教科では見せない集中力がありました」
「□君は、資料をじっくり読んでいました。先生の指示は聞いていませんでしたが、絶対に裏付けになる資料を見つけてやるぞ、という意気込みを感じることができました」
「◎さんは、先生の話やクラスメイトの発言をとてもよく聞いていますね。だから、あんなにしっかりとしたノートがとれるのですね」
このように、様々な教師が見た生徒の様子を出し合っている。そして、協議会の後半では、授業のどこに、そのような生徒の姿を引き出せた要因があるのかを検討している。
3 悪い面ではなく、よい面を伝え合う
生徒のよさを語り合うのは、互いに気持ちがよいものである。ときとして、職員室で生徒の悪口ばかりを言っている教師はいないだろうか。子どもは失敗するものだ。失敗しようと思って失敗する子どもはいない。よく聞いてみると、そのような指示の仕方だから、その子は失敗をしたのだろうと思うことがある。悪いのは生徒ではなく教師なのだ。それに気付くことなく、職員室で悪口を言うのはもってのほかだ。そのような教師にはよい情報は届かない。他の教師が情報を提供しようとしないからだ。
かつて互いの生徒のよさを伝えようという意図で、名簿に一言コメントを書いて、他学級の担任と交換し合ったことがあった。他学級の担任には、自分が見ているのとは違う姿で見えている生徒がいた。また、私が書いたコメントを読み、「この子にはこういう面があることを知ることができて助かりました」と言ってくれた先輩もいた。チームワークで生徒を見て育てる意義はここにあるのだと教えられた。
今回のPoint!
互いに生徒をほめ合うことは、生徒を見る目を確かなものにする。
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- ぴー
- 2015/1/25 16:50:42
私の担任は悪いとこしか言ってくれないし、ひいきばっかしする。