著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
さりげなくお手元に! 特別支援教育ミニガイド
ノートルダム清心女子大学講師青山 新吾
2015/1/15 掲載
 今回は青山新吾先生に、新刊『今さら聞けない! 特別支援教育Q&A』について伺いました。

青山 新吾あおやま しんご

1966年、兵庫県生まれ。小学校勤務・岡山県教育庁勤務を経て、現在、ノートルダム清心女子大学講師。学校心理士、臨床発達心理士。主な著書に、『THE 特別支援教育〜通常の学級編〜』『自閉症の子どもへのコミュニケーション指導』『特別支援教育を創る!』『吃音のある子どもたちへの指導』『個別の指導における子どもとの関係づくり』『青山新吾―エピソードで語る教師力の極意』(明治図書)などがある。

―本書は、「今さら聞けない! 特別支援教育Q&A」として、特別支援教育にかかわるあらゆる疑問を、コンパクトにQ&A形式でまとめた書籍になっています。まず、本書のねらいと読み方について、教えて下さい。

 特別支援教育が法制化されて7年が経ちますが、現場ではかなりの混乱が続いているように思います。対象範囲が広く、研修内容も多岐に渡ります。そこで、実際に現場で耳にした質問をピックアップし、できるだけ平易に、基本事項を押さえてまとめました。わずかな時間に素早く手に取っていただき、大まかな理解を図る際の1冊としてお手元に置いていただきたいです。

―特別支援教育という言葉だけでも、個々の発達障害への対応を学ぶことから、通常学級での取り組みや授業のユニバーサルデザインまで、そのイメージされる内容や、研修の中身も、幅広くなってきました。これらに対応していくには、どういった心構え(取り組み)が大切でしょうか?

 学ぶ際の頭の整理が重要だと思うのです。たとえば本書に掲載した問いは「システム」「障害特性」「現場における実際的運用」「各論」のように分類可能です。このように、ご自身が何をどのようになさりたいのか? そのために学びたい内容な何なのか? について頭の整理が必要かなと思います。

―Q12では、近年よく聞かれる言葉でもある「授業のユニバーサルデザイン」についてまとめられています。「ユニバーサルデザイン化すれば全ての子どもがわかるようになる!」というような言葉も聞かれますが、この点について、お考えをお聞かせ下さい。

 ここでは編者(青山)の私見を述べます。一斉授業形態で「すべての子どもがわかる」といったことはありえないのです。そこで、できるだけ多くの子どもにとっての分かりやすさの追究を基盤としたうえで、個の学びにくさに対しては、学習内容、指導方法、学習スピード等を調整していく「個別性」「多様性」の実現がこれから求められていくだろうと考えています。

―本書のQ23でも取り上げていただいている「一般の保護者に理解を進めるために、何をすればよいのですか?」というQは、障害があると思われる子どもの周囲でトラブルが多発している学校での切実な問題となっています。本書でも詳しく述べられていますが、どのような取り組みが大切でしょうか?

 障害特性を過度に強調する取り組みでは、障害のある子どもの「固有性」を際立たせることになると考えます。それよりも、本来どの子どもたちも違っておりいろいろなのだ…という「多様性」を基盤とすること、その中の1つとして「障害」による暮らしにくさや難しさがあるのだという構造で考えていくことが重要だと思います。
 つまり、取り組む側の考え方を見つめ続けることが必要なのです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 「今さら聞きにくい…」よく耳にするあのことばはどういう意味だったかなと思われることはないですか? また、具体例を伴うわかりやすい説明があればと思われることはないですか? そのような時に本書を手に取っていただき、先生方の混乱がなくなることで安心して子どもたちと過ごせる一助になれば幸せです。

(構成:及川)

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