著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
押さえどころさえわかれば、体育主任の仕事は怖くない!
京都文教大学准教授大前 暁政
2016/1/6 掲載
 今回は大前暁政先生に、新刊『実務が必ずうまくいく 体育主任の仕事術 55の心得』について伺いました。

大前 暁政おおまえ あきまさ

昭和52年生まれ。岡山県の公立小学校教諭を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)として赴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。著書に、『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』『プロ教師の「折れない心」の秘密〜悩める教師への50のアドバイス〜』『プロ教師直伝! 授業成功のゴールデンルール』『プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK―』『スペシャリスト直伝!板書づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝!理科授業成功の極意』(以上、明治図書)、『必ず成功する!授業づくりスタートダッシュ』(学陽書房)、『NHKおじゃる丸 クイズでおじゃる 目指せ小学校クイズ王』(執筆協力、NHK出版)などがある。
著者HP:『大前暁政の教育』

―体育主任の先生にとって、体育授業の年間指導計画の起案は重要な仕事です。この仕事はどのような点に気をつけて取り組めばよいのでしょうか。

 大切なのは、全体方針です。
 年間指導計画は、「手立て」です。
 「手立て」は、「方針」に沿って決まります。
 そこで、学校全体の「方針」を、体育主任を中心にきちんと議論しておくことが大切になります。
 実は、体育主任を受けもつ人は若い人が多く、このような「マネジメントの原則」を踏まえていない例がたくさん見られます。
 本書では、「どういう原理原則」で「どのように具体的に動けばよいのか」の、「考え方」と「方法」の両方を示しています。

―言うまでもなく、運動会は一年間で最も大きな学校行事の一つです。ズバリ、運動会を成功に導くための体育主任の心得を教えてください。

 はじめての運動会運営でも、運動会を大成功に導く方法はあります。 
 その具体的方法は本書の中で紹介していますが、心得を一つあげるとすると、体育主任が運動会に一番詳しくなっていることです。
 どんな仕事でもそうですが、トップに立つ者は、その仕事内容に精通していないといけません。
 はじめての運動会運営では、「わからないことが、わからない」といった状態になることも珍しくないので、まずは本書で紹介したポイントをしっかりと押さえてほしいと思います。

―昨今は、体育主任を若手の先生が担当している学校が多いと聞きます。全校を動かす仕事が多いので、先輩教師に気をつかう場面も多々あると思います。全校を動かす仕事をする際の心得があれば教えてください。

 若くして体育主任を任された場合、困るのが、仕事を振りにくいということです。
 体育主任は、人に仕事をお願いすることが多々あります。
 一番だめなのは、体育主任一人で仕事を抱えてしまって、夜遅くまで学校に残って仕事をする羽目になることです。
 主任なのですから、先輩教師を立てつつも、仕事の方針を出し、手立てを次々と打っていかないといけません。
 大切なのは、チーム意識です。学校全体にかかわる仕事が多くなりますので、チームできちんと方針や手立てを共通理解しておけるよう、繰り返し教職員とコミュニケーションをとることが必要になります。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 やり方を知らずして体育主任になった人は、仕事に忙殺され、あまりの仕事の多さに辟易してしまうことでしょう。
 しかも、一年後に成果を上げることもなく、ただ「忙しかった」で終わってしまうのです。
 このような「労多くして益少なし」の状態にだけは陥ってはいけません。
 体育主任の仕事は多岐にわたり、しかもその量は膨大です。
 本書では、体育主任のすべての仕事を示し、その具体的な方法を示しています。
 また、仕事を進めるうえでの考え方も示しています。
 本書があれば、まわりから感謝されながら、余裕をもって過ごせるようになるはずです。
 一人でも多くの教師が、「体育主任をやってよかった」と思えるようになれば、大変うれしく思います。ぜひ、若い体育主任の先生に本書を薦めてほしいと思っています。

(構成:矢口)
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