一番のポイントは、自分が描くことと指導することは全く別だと認識することではないでしょうか。うまく描けても、上手に指導できるとは限りません。
むしろ、苦手な先生の方が、描けない子の気持ちがわかります。つまずきの原因に気づき、努力と工夫をされる可能性が高いので、子どもたちに図工の楽しさを感じさせることのできる教師になれるのではないでしょうか。
突然思いつく時や何週間もかけて徐々に形になってくる時など、題材によって様々ですが、新しいアイディアというのは、それまでの経験の上に積み重なって出てくるものらしいと感じています。何もない所から新しいことを思いついたようで、実はそれまでの経験が必要不可欠であったと気づくことがよくあります。
それともう一つ、求め続けていないとアイディアは出てきてくれないようです。
題材に取り組むために必要な技能を事前につけさせておきたいといった場合、ワークシートでの学習が効果的です。ワークシートの利点は、条件をそろえて、ポイントを絞れることです。
たとえば、同じ図案を決められた色で塗ったとしたら、絵の具の水加減や筆づかいなど限定された部分が際立ちます。私がワークシートを使い始めたきっかけも、このポイントを絞った指導ができるというところにあります。
自分一人ができる授業の数はたかが知れていると考えたからです。題材開発には、時間と労力が必要です。これを、自分だけで実践した場合、複数年のスパンで見てもせいぜい数回しか活用できません。しかし、何人かに実践していただけたなら、かけた時間と労力は同じでも、はるかに大きな成果を得ることができます。そこで、自分で開発した題材を他の方に知っていただくために、サイトを開設したのが始まりです。
図工は、答えがひとつでない数少ない教科です。課題に対して色々なアプローチがあっていいし様々な正解があっていいのが図工です。それは、子ども達が課題に取り組む時だけではなく、教師が教えようとする時にも言えるのではないでしょうか。絵の上手な先生にはその先生の、苦手意識のある先生にはその先生なりの図工指導が必ずあるはずです。そして何より図工はとても楽しい教科です。ぜひ、自分なりの方法で図工の指導を楽しんでいただければと思います。
この本はアマゾンで予約購入しました。本の内容を参考に、ホームページの写真や動画入りの解説を視聴し、自分でもやってみて授業に臨むのがベストだと思いますが、本を読むだけでも確実に授業や子どもが変わると思います。
私も長年教員をやってきて、若い先生方に苦労して試行錯誤してきたことを残していきたいと思っているところなので大いに共感しました。