きょういくじん会議
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あなたは何タイプ!? 記憶力向上のコツとは
kyoikujin
2010/12/8 掲載
記憶力世界一チャンピオンのマル秘記憶術 (GAIA BOOKS)

 みなさんは、自分の記憶力に自信がありますか。暗記は得意という人がいる一方で、何度繰り返しても覚えられずに苦労した経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、この記憶力の差を生む要因とは何か考えてみることとします。

 限界は7±2!?
 記憶力に関する有名な研究に、アメリカの心理学者・ミラーによる「マジカルナンバー7」というものがあります。これによれば、人間が一瞬で記憶することのできる情報の容量は、数字ならば7±2ケタ、単語ならば7±2語と、個人差はあれど7±2つの範囲に収まるそうです。この研究は一瞬で覚えすぐに忘れてしまうような記憶(短期記憶)に関するものなので、長期にわたる記憶の容量についてはまた違った結果が出るものと予想されますが、記憶力の個人差が±2つ分とは、思ったよりも少なく感じる方も多いのではないでしょうか。

 目から・耳から・体から
 では、記憶力の個人差を決定づけるものとして、他にどんな要因があるのでしょう。一つには、記憶のタイプが挙げられます。一説には、人の記憶のタイプは脳に保持される位置によって、映像化して覚える視覚記憶・耳から聞いて覚える聴覚記憶・体で覚える運動感覚記憶といった3種類に分けられ、人によってどのタイプの記憶が優位か異なるそうです。つまり、視覚記憶が優位の人は記憶すべきものを映像で捉えることで、聴覚型の人は音声で、そして運動感覚型の人は体にその手順を染み込ませることで、記憶しやすくなる可能性があるということになります。

 これらは脳から見た記憶法ですが、暗記のテクニック的なものでいうと他に、数字や単語に多い語呂合わせ、“red”という単語から「りんご」を思い浮かべるなどの連想法、公式などについて「なぜそうなるのか」という理論から理解する方法、「この説明をしていた時、先生が冗談を言って、クラス中が笑った」というように、エピソードごと記憶するような場合など、実に多様です。そしてこれらの方法がすべて正しいというわけではなく、個人やその時々の覚える内容によって、適するものは変わってきます。

 ひょっとしたら、いわゆる記憶力の良い人というのは、様々な記憶法やテクニックの中から、自分に合ったものはどれか分かっている人のことなのかもしれませんね。

 記憶法も十人十色
 上に挙げたものの中には、こんな方法知らなかった! というものもあるかもしれません。思うに、日本の学校教育では「何を覚えなければならないのか」については詳しく説明しても、「それらをどう覚えたらよいのか」についてはあまり教えてこなかったように思います。しかしながら、人によって最適な記憶法が異なることを踏まえると、1つの記憶法に偏ることなく、様々な方法を提示してあげることも重要なのではないでしょうか。

 今まで暗記が苦手と嘆いていた人も、自分に合う方法を知らなかっただけで、コツさえ掴めば力を存分に発揮できる可能性があります。誰にでも当てはまる万能法はないことを理解しつつ、一人一人の可能性を引き出すことのできるよう、心がけたいものですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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