ソフトウェアの権利保護などの活動を展開しているビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は、25日、BSA加盟企業と首都圏の学校法人との間におけるソフトウェアの著作権侵害に関して、約2億1,000万円の和解が成立したことを発表した。和解額は全世界では過去2番目、日本を含むアジア地域では過去最高額となる。
今回の著作権違反は、BSAが設置している情報提供窓口への通報により発覚。その後の調査で、10,364本にものぼる違法コピーが見つかり、全世界で史上2番目となる大規模な著作権違反だったと判明した。BSA日本副事務局長の松尾早苗氏は「違法コピー率が世界で3番目に低く、かつ知的財産立国を目指している日本の教育機関において、これほど大規模な著作権侵害が行われていたことに驚いています。」とコメント。今後も教育啓発活動を積極的に行う一方で、意図的な組織内違法コピーに対しては、引き続き法的手続きも視野に入れた権利保護支援活動を行っていくそうだ。
学校の教員が教育目的で他人の著作物を複製して利用できることは広く知られているところだが、無条件で著作物の利用が許されているわけではない。例えば、新聞記事や論文などを授業中にプリントとして配布するのは問題ないが、宿題や保護者への配布など授業以外の目的での使用は認められていない。また、問題集や副教材などは、利用者が購入して使用することを前提として作成されているため、たとえ授業中の使用であっても、著作権者の利益を害するとして複製は認められていない。今回、著作権侵害とされたソフトウェアのコピーも教育目的での例外規定にはあたらないため問題となる。
日本教育工学振興会が2004年に行った調査によると、教育目的での例外規定の存在については、全体で95%の学校で認知されているが、利用条件の内容まで詳しく知っている教員がいる学校は全体の10%程度と少ない。この認識不足が例外規定を拡大解釈させ、学校現場での著作権保護の意識低下に繋がっていることも考えられる。パソコンやOA機器の発達に伴い、以前よりも簡単に他人の著作物を複製できてしまう時代だからこそ、より慎重な取り扱いが求められている。
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- 名無しさん
- 2008/3/31 15:41:51
自作する時間もないし、教材買うと保護者がうるさいし・・・。