- 菊池道場の価値語録
- 学級経営
周りの人が、「信じる・認める・任せる」スタンスを持っていると、子どもたちは次第に主体的・協働的に行動し始めます。信じることそのものが、子どもたちの行動をプラスの方向に導くのです。今回は、「信じる・認める・任せる」スタンスで生まれた価値語録です。
てこの原理を使わない
「てこの原理」とは、主に「小さな力で大きなものを動かすこと」のように使われます。ここで言う「てこの原理を使わない」とは、楽をせず、こつこつと努力することの大切さを意味します。
プール清掃のときのことです。事前に教室で「いいと思ったことは(危険なこと以外)どんどん行動に移していいですよ。」と伝えていました。ほとんどの子どもたちが、たわしやデッキブラシを使って立ったまま掃除を始めました。しかし、一人の女の子は違いました。汚れたプールに両ひざと左手をつけて、右手に持ったたわしで懸命に壁をこすり始めたのです。壁をきれいにするためには、立ったままブラシでこするより、たわしを使ったこの姿勢がいいと「自分自身」が選択したのです。壁はどんどんピカピカになっていきました。そんな彼女の姿にぴったりの価値語です。
信じることで子どもたちは「自分自身」で行動を選択し始めます。それを周りの人が認めることで、次の行動も「自分自身」で主体的に選択していくことができるようになるのです。
オリオン座の三ツ星力
オリオン座は、夜空にひときわ美しく輝く星座です。時に道しるべとしても使われます。この価値語には「リーダーとしての自覚と責任」の意味が込められています。
朝会のあと、子どもたちは自主的に力を合わせながらマイクやホワイトボードなどの片付けや窓閉めなどを始めます。「信じる・認める・任せる」スタンスを大切にしていると、自然にこんな姿が見られるようになります。オリオン座の中の三ツ星をリーダーだとすると、リーダーが輝くような行動をしていれば、その集団はひときわ美しく輝くことをこの価値語は表しています。周りの大人が「信じる・認める・任せる」スタンスを持っていれば、子どもたちは学級外でも主体的・協働的に「いいと思ったこと」を行動し始めます。
100点じゃなくて100%の力で
「点数としての100点は『他の人』がつけるもの。そうではなくて『自分が』納得できる100%の力を出したい。」そんな子どもの言葉から生まれた価値語です。
この価値語は、ある女の子が地域の畑に草ぬきに行くときに立てた目標です。「信じる・認める・任せる」スタンスを大切にしていると、「○○さんにほめられたいからやる」という他人の評価=「自己外評価」よりも、「自分が納得できるようにやる」という「自己内評価」を大切にするようになります。
このように、周りの大人が「信じる・認める・任せる」スタンスを持つことで、子どもたちは心で感じたことを、主体的に行動に移すようになります。まずは、子どもたちを信じて、認めて、任せてみませんか?