- 菊池道場の価値語録
- 学級経営
子どもたちの自尊感情を高めていくことは、クラスの中で一人ひとりが自分らしさを発揮しながら成長するためにとても大切です。その中でも、人の役に立ち、相手から認められること、人との関わりの中で育まれる自己有用感の育成にポイントを絞った価値語録です。
ありがとうの輪
「ありがとう」と言うには、感謝をする心が大切です。「ありがとう」と言われる、そこには、相手を想っての行動があります。お互いに相手を想う心から発せられる温かいほめ言葉です。
子どもたちのよさを見つけ、一人ひとりにふさわしい言葉をと思ったとき、まず出てくるのが「ありがとう」です。小さな身体で重たい給食の食缶・食器を運んでいる姿を見たとき、きちんと整列して教師を待っている姿に気付いたとき、自然に「ありがとう」の言葉が出てきます。
教師自身も言われてみたらよく分かるのですが、きちんと「ありがとう」と言われると、認めてもらっている嬉しさがじわっとこみ上げてきます。「ありがとう」―その一言が、また次も頑張ろうという子どもたちの意欲を育てます。
限りなく透明な心
「透明な心」とは、ここでは、相手に共感する心を意味します。一緒に喜んだり、一緒に悲しんだり、相手のことを理解しようとする態度が人とのつながりを深めます。
ある女の子が授業中に泣いていました。さっと席を立ち、その女の子に寄り添った子どもがいました。寄り添っている子は、背中をさすったり、肩に手を置いたりして静かに隣にいただけなのです。やがて、泣いていた子どもは落ち着きを取り戻すことができました。
人の気持ちを理解するのに、特別な言葉は必要ではなく、共感することが大切なのだと子どもたちの姿を通じて感じます。困っている人を前にして、自分に何ができるのか、共感をキーワードにして子どもたちと考える際に活用してもらいたい価値語です。
大切なお友達に
集団で生活する中ではお互いを思いやることが何より大切です。友達のことも考え、気付いたことは行動に移してみましょう。
給食終了後、掃除の準備が始まっても、お休みしていた子どもの机だけがポツンと残っていました。すると、ある男の子がさっと当たり前のように机を下げ始めたのです。この場にいない友達のことを想って、誰に言われたわけでもなく進んで行動したことに感動しました。
この価値語は「価値語モデルのシャワー」として、写真と共に教室に掲示しています。どんな小さなことでも、周りの人のために行動している子どもを大きく価値付けていくことで、クラスの中に互いを思いやる行動が広がっていきます。
自分がしたことで相手が喜んでくれたという経験を積み重ねていくことは、子どもたちのやる気を育て、自信につながっていきます。価値語を通して心を育てる。そのような意識を持って価値語指導をしていくことが大切です。