本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。
山田先生!
私のクラスの子(1年生)について相談させてください!
学びのつまずき相談
「ひらがなを鏡文字で書いてしまう」
1年生の男の子です。ひらがな学習で、なかなかひらがなをきちんと練習出来ません。鏡文字を書くことが多いのですが、先日は「て」を教えているときに、私が、「『て』という字は、こんな風にお腹をふくらませるように書くんだよ」と説明しているときも、「お腹へこんでるやん」と授業中に叫んでいました。こちらのいっていることも理解出来ないのかと悲しくなりました。
どのように教えていけばいいでしょうか。
ふ〜ん、へこんでますか…。
わけのわからないこともいっていますね。(笑)
鏡文字もあるんですね。
山田先生の分析
誤りの原因を分析してみよう
なぜ、ひらがながなかなか覚えられないのでしょうか。実際に書いた文字を見せてもらったり、書いている様子を見ることも大事なのですが、今回は、今わかっている情報を整理していくことにしましょう。
1つは、鏡文字があるということです。鏡文字を書く子どもは、左利きであったり、左右の判断がさっとできなかったりすることがよくあります。こういった状況は、空間認知が弱いといい、上下左右などの位置関係の認識が弱い可能性があります。
もう一つの情報は、「て」を教えているときに、「お腹をふくらませるように書くんだよ」と説明しているのに、「お腹へこんでるやん」ということです。これは、右利きの視点と左利きの視点が違うということから来ています。『お腹がふくらんでいる』は右利きが手をふくらませるように書きますが、左利きは手前に引いて「へこむ」ように書きます。つまり視点が真逆です。このため、文字の向きというものを反対にとらえる傾向が強いために、なかなかひらがなの習得が上手くいかないということがわかります。
この児童は、左利きでなおかつ左利きの視点も強すぎることが大きな特徴であるということができます。
特徴がつかめましたね。
そうしたら、こんな風にするとよいですよ。
学び支援のアイデア
「説明に左利きの視点を加える」
文字の形を認識し、それに従って書いて覚えているのですが、最初に文字の形の認識でつまずいています。この部分にていねいな支援が必要です。
ひらがなを教える際に、右利きの視点に加えて、左利きの子どもから見たときの視点を加えて説明することが重要です。例えば『横に線を引くとき』は『左から右に引く』が右利きの視点、『左から右に押す』が左利きの視点です。
なるほど。。
私自身が右利きなので、考えたこともありませんでした。
そうですね。。
でも、左利きの子は結構いますからね。
学びづらさ、それ自体への支援
左利きの子どもたちの学びにくさに配慮を
左利きの子どもたちは、この他にも様々な学びにくさをもっています。
例えば、お手本は左に置くので、左利きの子どもは、必ず手でお手本が隠れてしまいます。習字などでも、点も押すように置かねばなりません。『手前に引く』という説明が理解しにくいのです。
しかし、視点が違うために私たちには思いつかないようなことが発見出来たりします。例に挙げた「『て』という字は、「お腹へこんでるやん」というのとても新鮮な発見です。こういう新鮮な発見を意図的にとりあげてあげて、モチベーションを上げていくことも大切です。
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教えていただけるとありがたいです。