- 学習つまずきサポート
- 特別支援教育
本コーナーでは、一生懸命頑張っているのになぜか学習がうまく進まない…そんな学びにくい子のつまずきの原因を探り、そのサポート法を解説していきます。
山田先生、私のクラスの子(5年生)について相談させてください!
学びのつまずき相談
「会話がおかしいんです」
5年生の女の子です。勉強もそれなりにできているんですが、会話をしていると、何か違和感があるんです。普通にしゃべっていますし、内容が変なわけでもないんですが、何か違うなあって、いつも思っています。子ども同士の会話でも、けっこうトラブルがあります。子どもたちは、「無視した」「無視してない」というやりとりをしているのを耳にしたことがあります。これって何なんでしょう。
かみあってませんね。。。
山田先生の分析
トラブルの原因を分析してみよう
会話のトラブルの時は、具体的なやりとりに沿って考えていきます。
印象でとらえてはいけません。具体的には、ビデオに撮影したり録音したりし、実際のやりとりをふり返ることが大切です。それを実際に紙にやりとり関係がわかるように書いていきます。左側に対象の子ども、右側に会話の相手のセリフを書いてみましょう。そして、やりとりを問と返事というように矢印でつないで整理してみましょう。
どんなことが見えてきますか。彼女が、相手の問に返事していないということはありませんか。子ども同士の会話に関係するやりとりで、「無視した」「無視していない」というやりとりが気になる着目ポイントでした。
彼女:昨日何のテレビ見た?→ | |
---|---|
相手:7時からの6チャンネルの歌の番組。「嵐でててん」 | |
彼女:○○出てるドラマみてんけど、かわいそうやったわあ | |
相手:うん!?何で私の言うこと無視するん。あんたが聞いたんやで! |
このようなやりとりでした。
彼女は、自分の見たテレビの話をしたかったのですが、相手が言った番組じゃなかったので、自分で話を進めてしまっています。現実的には、相手の言うことを無視していますが、自分は無視したつもりはなく、自分の言いたかったことを話しているだけなので、「無視してない」となるわけです。
先生の感じた違和感は、彼女が先生の言ったこと返事をせず、自分の話だけするので、会話がキャッチボールにならないことからきている違和感だったのではないでしょうか。
なるほど、です。なんだかかみ合わない感じがした理由がわかりました。
学び支援のアイデア
「『会話はやりとりだ。』を教える」
実際に記録した会話を元に、相手の言ったことに返事をせず、自分の言いたいことを一方的に進めているという会話の実態を一緒に確認するとともに、自分の思いだけで一方的に話をしたときに、相手は、どんな気持ちになっているかなどを、相手に語ってもらうなどの取り組みが必要です。
トレーニングとしては、お話サイコロなどを使いながら、相手の言ったことに関連する話をする練習等をしていくことが大切です。
お話しサイコロとは…
お話しサイコロは、立方体のそれぞれの面に「最近読んだ本」「昨日の晩ご飯」「おととい見たテレビ」等というテーマが書かれてあります。数人で実施します。最初に振った人が、その出たテーマについて話をします。聞いていた人たちは、それに質問をします。最初に振った人は、その質問全部に答えていきます。全員の質問に答えたら、次に人にサイコロをわたして、交代します。これを繰り返します。
山田先生、ありがとうございます。なるほどです。
田中先生、ぜひ試してみてください。また、その子について考えていただきたいことがあります。
学びづらさ、それ自体への支援
しゃべっていても会話として成立していないことも
自分の視点や思いが強かったり、相手の気持ちを考えるのが苦手だったりする子どもたちは、会話でのトラブルが起こりがちです。このような子どもたちや、自閉症スペクトラムの子どもたちも含めて、会話のトラブルとともに、対人関係の上手くいかないという困難もかかえているケースもあります。このような場合、会話の指導が彼らへの大切な支援になることがよくあります。
この子どもたちは、しゃべっているので、そこに支援が必要と思われにくいですが、よく観察して会話のやりとりへの支援を考えていってほしいと思います。
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