著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
パズル教材で楽しく重点指導事項を習得させる
青梅市立吹上小学校教諭村野 聡
2009/9/11 掲載

村野 聡むらの さとし

1963年東京生まれ。青梅市立吹上小学校教諭。TOSS青梅教育サークル代表。東京向山型社会研究会所属。
【著書】『クロスワードで社会科授業が楽しくなる!』『<PISA型読解力を鍛える>社会科「資料読み取り」トレーニングシート』(以上、明治図書刊)

―本書は『クロスワードで社会科授業が楽しくなる!―授業で使えるプリント集』の続編になりますが、前著との違い、本書のねらいについてご紹介ください。

 前作『クロスワードで社会科授業が楽しくなる!』は1時間の授業のまとめに使うよう設計されています。それに対して本書は主に単元レベルでの活用を目指しました。単元のまとめとして、テスト前の復習として使える教材になっています。また、前作は「クロスワード」だけを教材にしましたが、本書は様々なパズルの教材としての可能性を追求しています。さらに、前作には入っていない新教育課程に対応した教材を本書では取り入れています。どちらも子どもたちが熱中します。

―タイトルにもなっている「重点指導事項」を子どもたちに習得させるためには、どのような取り組みが大切でしょうか? 本書の特徴とあわせて教えてください。

 大切なのは次の2つの柱です。
 @重点指導事項を教える日常的指導
 A教えた重点指導事項の定着
 @を教えるための教材が昨年出版した『社会科「資料読み取り」トレーニングシート』です。そしてAを教えるための教材が前作『クロスワード』と本書『面白パズル』です。
 まずはこれらの教材を使って子どもたちに授業をしてみることをお勧めします。なお、『トレーニングシート』は今、学年別を執筆中です。

―本書に収録されているパズルの特徴の一つに「個人差に対応する」ことが挙げられています。そのために先生はどのような工夫をされていますか?

 「個人差に対応する」とは個々の子どもたちの作業時間の差を埋めるということです。教材のシステム+授業のシステムで作業時間の差が埋まるように設計されています。ここでは詳細は紹介できませんが、パズルを早く終えた子を教師がすばやくチェックするシステムとチェックを終えた子にある作業指示を出すシステムです。こうすることでまだパズルを終えていない子の時間を作り出す工夫をしています。

―先生は『社会科「資料読み取り」トレーニングシート』でも「書く技能」を鍛える提案をされています。本書のパズル教材にも必ず「書く場面」が設定されていますが、その重要性を先生はどのように考えていらっしゃいますか?

 「書く」ことは「考えること」です。子どもたちにも「書いた量が考えた量だ」と言っています。教師は意図的に子どもたちに書かせなくてはいけません。特に発問後、ノートに自分の意見を書かせるということを教育界の常識にしなくてはなりません。発問後、挙手した子どもを指名して進める授業をよく見ますが、あれでは反応の早い子どもだけで授業が進んでしまいます。書かせることで一人一人に考える時間を保証することができます。また、ノートに書かせるから教師の評価も全員に対して可能になるのです。書かせることで学力は伸びるのです。

―最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

 これまでとは一味違ったパズル教材の提案です。ぜひ、本書を活用して子どもたちに楽しく重点指導事項を習得させてください。

(構成:及川)

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